この記事から垣間見えるのは、「子どもたちを救う『絶対善』の西欧」と「子どもを搾取し金を稼ぐ『犯罪者』」という単純な二項対立だ。ここで犯罪者とされているのは、貧しすぎてほかに生計を立てる手段を持たない貧困層の親と、富裕な地域に住む西欧のスケベオヤジである。

貧しい母親を犯罪者としてさらしても問題は解決しない

 この悲劇の根底にあるのは貧困である。

 “ショー”を摘発することで、本当に子どもたちは救われたのだろうか。

 根底にある貧困が解決されない限り、児童搾取の悪循環を根絶することは難しい。

 西欧メディアの報道は、表面的な問題だけを取り上げ、マリアのような貧しい母親を犯罪者としてさらし、自分たちの道徳的な優位性を確立しようとしているようにも見える。

 だが真の解決策は、そこにはない。

 性的搾取を生み出してしまったグローバルな経済格差、つまりはマリアとその家族のような貧困層の経済的安定を確立する取り組みこそが、欠かせないのだが。