欧州で広がる児童の「デジタルレイプ」
未成年者の性を搾取する人身取引は、欧州では一大ビジネスになっている。
国際労働機関(ILO)の「強制労働による違法利益」に関する報告書(2024年4月)によると、強制労働全体(民間セクターの強制労働、強制的な性的搾取、子どもの商業的な性的搾取などを含む)から生じる年間の違法利益は年間2360億ドル(約36兆円)と推計されている。
商業的な性的搾取に遭った子どもの被害者数は年間100万人と推定され、被害者一人当たりの性的搾取によって生まれる利益は2万7000ドルとされている。
これらの数字を用いて概算すると、未成年者の性的搾取の市場規模はおよそ年間270億ドル(100万人×2万7000ドル)と推定される(「グローバル・サプライチェーンにおける児童労働、強制労働、人身取引に終止符を」より)。
これらは基本的には犯罪組織が得ている金額であり、脆弱な立場の子どもたちが、貧困地域や紛争地域などから大がかりに取引され、組織的に搾取される形態を指している。
だが、子どもを搾取しているのは犯罪組織だけではない。
英国の「Internet Watch Foundation(インターネット監視財団、IWF)」によると、2024年、IWFがネット上で確認した違法な画像や動画のページ数は29万1270ページにのぼり、過去最高だったという。
前年よりも5%増加し、子どもの性的虐待などの画像の拡散状況は、年々深刻化している。実際の人身取引と合わせて、インターネット上での児童搾取も急激に拡大しているのだ。
特に昨今の欧州で急激に蔓延しているのが「デジタル児童レイプ」だ。