露骨な銃撃や街頭犯罪は犯罪組織が抑える
パラー州は指名手配・金融調査などの情報作戦に軸足を置き、リオのような「見せる突入」より「精密な摘発」を重視してきた。支配地域での露骨な銃撃や街頭犯罪をCV自身が抑える傾向が強く、「静かな支配」が広がっている。
リオの掃討作戦はCV全国ネットワークの結節点を狙ったもので、死亡者・拘束者の相当数がパラー州出身者だったとされる。リオの犯罪ネットワークが実はアマゾン側、つまりベレンにも本拠と人脈を持っていた構図が裏づけられた。
ベレンはアマゾン河口にある(機中から筆者撮影)
10月21〜22日にはベレンでプレCOP30としてブラジル連邦検察庁主催の「検事総長フォーラム」が開かれた。捜査・訴追・資金追跡など、国境を越える「環境犯罪」への共同対応の具体化が狙いだ。15カ国の検事総長・代表が合意文書に署名した。
環境犯罪撲滅のため違法伐採、違法な金採掘、野生生物取引、放火・土地収奪などの複合犯罪を一体で追う。違法木材・金の流通や資金洗浄(マネーロンダリング)の摘発、不正資産の没収を強化する。衛星監視・リモートセンシング・データ分析のツールを捜査に組み込むという。
【木村正人(きむら まさと)】
在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争 「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。




