「影の公共サービス」を装い“地方税”のように徴収

 CVは1970年代、軍政下で政治犯と一般犯が一緒に収容されていた刑務所で生まれた受刑者同盟に端を発する。自衛・逃走資金の共同化から始まり、80年代には麻薬取引に本格参入、全国展開したと言われている。主な資金源はコカインなどの麻薬取引だ。

 武器密輸・強盗・みかじめ料・違法サービスの課金(インターネット、ガス、水、警備)により「影の公共サービス」を装い、あたかも“地方税”のように徴収する。支配地域では表向き秩序を演出する一方で、住民や商店への課金と制裁で、収益と統治を保つ。

 麻薬・武器の密輸はアマゾン経由の国際ルートを利用する。地理・河川・国境が複雑なブラジル北部で犯罪組織間の利権争いが治安を悪化させる。住民間の窃盗や喧嘩の禁止、違反者への私的制裁、商店への課金の実態は沈黙の強制でしかない。

 刑務所と地域を行ったり来たりしている間に若者を勧誘、CVの勢力は治安当局の推計で約3万人規模とされる。ベレンでは2014~15年ごろに地元ギャングの取り込みを通じてCVが定着した。他の都市圏にも浸透を図っている。