純金積立の手数料率引き上げの動きも

 現在は1グラム=2万円を超えている国内の小売り価格が10分の1程度だった同2000円の頃から、毎月1万円ずつ積み立ててきた。まとまった額を引き出したのは住宅を購入した時だけだ。

 コロナ禍以降、金価格が急上昇する局面で何度か現物化や現金化を検討したが、「実際に行動に移さなかったのは自動積み立てという仕組みが大きかったと思う。現物を持っていたら絶対に売っていた」と振り返る。

 そんな彼女が、ここに来て金投資からの撤退を考え始めたのは相場環境の変化だけが理由ではない。

 積み立てをしている国内の大手貴金属商から、12月からの積み立て手数料率(3万円未満は2.5%→2.8%)の引き上げと、積み立て分を現物化する方法の変更の連絡を受けたからだ。

 積み立てていた金を地金で引き出す場合、現行ルールだと重量を指定し、バー(いわゆる延べ棒)の形で複数の規定サイズの大きい順で引き出す。その際のバー指定手数料は無料だ。

 ところが、変更後はバー指定が必須となり、500グラム未満のバーにはバー指定手数料がかかってくる。50グラムのバーが1本につき手数料は8800円、100グラムのバーだと同1万6500円にもなる。

「そもそも純金積立の手数料は正直高いなと思っているし、長期だとバカにならない。これまではその分を上回る投資の果実があったからいいけれど、今後も続く保証はない。貯めた分を現物に替える際にもまた新たな手数料がかかると思うとげんなりする」

 しかし、現物の純金に換えたところで、それを保管するのも一仕事だ。