保守系チャンネルの歌姫がパチンコ店の広告塔に

──チャンネル桜で共演していた頃、さやさんがパチンコ業界やNHK紅白歌合戦について古谷さんに語った内容は印象的でした。

古谷:私は、さやさんとは5年間一緒に番組をやっていました。その中でもいくつか、印象に残っているエピソードがあります。

 彼女は横浜出身ですが、FM横浜でもラジオ番組を持っていました。名前が少し売れたこともあり、地元のパチンコ店が彼女をキャンペーンガールとして起用しました。

 ただ、在日コリアンが多く働いてきた業界ですから、保守界隈はパチンコを反日の象徴のように考えて嫌厭します。にもかかわらず、保守系チャンネルの歌姫がパチンコ店の広告塔になってしまったのです。

 さやちゃんがニコニコ生放送に出演すると、たちまち「パチンコ」「パチンコ歌姫」などの文字が画面を覆ってしまう。それを運営側が必死にブロックする。やがて、パチンコを批判する内容をチャンネル桜でやると、彼女はその回は欠席するようになりました。

 次第に休みがちになり、バツが悪かったのか、ある時、彼女は私に連絡してきました。「私が関わっているパチンコの会社は朝鮮人の経営者がやっている店じゃないの」「日本人が経営している純粋な会社なの」「だから大丈夫なの」と。

 なるほどと思いました。どこまで今の日本人ファースト思想と結びついているかは分かりませんが、彼女の中にはそうした差別意識があるのでしょうね。パチンコの良し悪しを議論するのではなく、人種で考えているということです。

 紅白歌合戦に関してもこんなエピソードがありました。保守業界はNHKを反日放送局だと考えます。そこで、デモなどの形でNHKを批判する。でも、さやちゃんは来ない。

 後の本人の説明によれば、「歌手としていつか紅白歌合戦には出たい」「だからNHK批判はできない」ということでした。今年の7月に、参議院選挙で当選してついにNHKに出演できましたから良かったのではないでしょうか。歌手じゃないけれど。

──参政党の支持者を「ぼんやりと『日本すごい』という言説に感化されている人々」「参政党はネトウヨにすら相手にされていない」と書かれています。