参政党を支持している人々

古谷:私は長年、ネトウヨ界隈に身を置いていましたが、その後、むしろその界隈を批判的に論ずるようになりました。ネトウヨ界隈を批判すると炎上します。「古谷○ね―」「その汚ねぇ髪どうにかしろ!」など、さまざまな誹謗中傷が吹き出します。殺害予告を受け取ったこともあります。

 そんな私が今回、参政党に批判的な本を出しました。以前から、参政党に批判的な論考を書いていますし、恐らく日本で最初に書いたのも私だと思います。ところが、ネットでもXでも、怒りの反応がほとんどないのです。これはなぜか。それは、参政党の支持者が文字を読み、内容を精査して誰が味方で誰が敵かということを見分けない人たちだからです。

 もっと言うと、右とか左とか、保守とかリベラルとか中道とか、政策の中身とか、そういうことを判断する知識を持ち合わせていない人たちです。

 驚くべきことに、私の今回の参政党批判の本を買って、自宅で表紙を撮影して、「この本買って!」とSNSで宣伝してくれた人の中にも参政党の支持者がいます。プロフィール欄に「神谷さん大好き」「神社巡り」など書いている人たちが、参政党の応援本だと勘違いして宣伝しているようです。そういう人たちが支持している政党です。

──そんな参政党に最近、政治経験がある、素人とは言いがたい人たちが候補者や重要なポストに入り始めていますね。

古谷:そうした方々は参政党や界隈の性質をよく理解しながら入ってきているはずです。政界に復帰できるならばそれも厭わないという発想です。非常にこずるい人たちだと思います。

古谷 経衡(ふるや・つねひら)
文筆家
1982年、北海道札幌市生まれ。立命館大学文学部史学科(日本史学)卒。一般社団法人日本ペンクラブ正会員。一般社団法人令和政治社会問題研究所代表理事。時事問題、政治、ネット右翼、アニメなど多岐にわたる評論活動を展開。テレビコメンテーターのほか、ラジオМCとしてもメディア出演多数。『激戦地を歩く』(幻冬舎新書)、『シニア右翼』(中公新書ラクレ)、『毒親と絶縁する』(集英社新書)、長編小説『愛国商売』(小学館文庫)、『日本を蝕む「極論」の正体』(新潮新書)など著書多数

長野光(ながの・ひかる)
ビデオジャーナリスト
高校卒業後に渡米、米ラトガーズ大学卒業(専攻は美術)。芸術家のアシスタント、テレビ番組制作会社、日経BPニューヨーク支局記者、市場調査会社などを経て独立。JBpressの動画シリーズ「Straight Talk」リポーター。YouTubeチャンネル「著者が語る」を運営し、本の著者にインタビューしている。