カッチリした乗り心地

 基点は、東京都渋谷区恵比寿にあるスバル本社。まずは羽田を目指す。

 恵比寿周辺は狭い道が多いのだが、クルマのサイズ感としてはちょうど良く、取り回しも楽だ。ボディサイズは全長4480mm×全幅1800mm×全高1580mm。

「クロストレックS:HEV EX」のサイドビュー(写真:筆者撮影)

 またスバルが「0次安全」(ゼロじあんぜん)と呼ぶ、運転席からの見切りの良さを歩行者、自転車、電動キックボードが混在する都心部の交差点付近で改めて実感する。

 乗り心地としては、フォレスターS:HEVと比較すると足(サスペンション)が固いというほどではないがカッチリした乗り心地だ。ハンドリングでは四輪駆動を強く意識することはなく、乗用車として日常生活に馴染む。

「クロストレック S:HEV EX」のエンジンルーム(写真:筆者撮影)

 乗り味としては、軽いアクセル操作でモーターがしっかり効くことで交差点でのストップ・アンド・ゴーでのストレスが少ない。

 一般道を抜けた後、天現寺IC(インターチェンジ)から首都高速に乗り、環状線・横羽線と進む。首都高速名物の路面の継ぎ目からの突き上げは、フォレスターS:HEVに比べると少し強めだ。

 ただしガツンといった感じではなく、衝撃に対して角(かど)がないコトンというイメージであり、かつその振動が速く収束するので乗り味は悪くない。

 羽田周辺での取材を終えてから都心に戻り、深夜までモータースポーツ関連番組の収録。その後は横浜へ移動した。

「クロストレック S:HEV EX」を首都高速で夜間に走行する様子(写真:同乗者撮影)

「クルマ全体が大きく見える」

 ホテルの立体駐車場で係員の人が「これ、入るかなぁ?」とかしげた。車幅の制限が1850mmだからだ。車幅1800mmだと伝えると「クルマ全体がとっても大きく見える」と言う。

 翌朝は横浜市内で取材を終えてから、首都高速・横浜新道・保土ヶ谷バイパスを経由して東名高速に乗って御殿場ICを目指した。

 この行程では、首都高速の継ぎ目で感じた路面からの突き上げはさほど気にならず、アイサイトの上級グレードのアイサイトX(エックス)を使った時速100kmでの移動は実に快適だ。

 フォレスターS:HEVに比べて車高が低いことで車内空間も減少しているが、東名高速での移動で車内の狭さを感じることはない。

 御殿場ICを降りて周辺で各種取材をする中で、ワインディング路を走る。1月の青森感酸ヶ湯温泉周辺での体験と同じように、クルマが本当によく曲がる。

 具体的には、少ないハンドル操作とアクセル操作でクルマがグイグイ曲がるのだ。コーナリング中にハンドルを切り足しても、クルマが横に揺れるロールは少ないので安心感が高い点も気に入った。これは、運転者だけではなく助手席や後席の乗員も共通の感覚である。

 こうした走行環境では、サスペンションのカッチリ感がベストマッチしていることがよく分かる。クルマの動きがカッチリしているが、足(サスペンション)がよく動くことで操縦安定性が高まっているのだ。