クローズドエリアで開催された報道陣向け試乗会は雨模様。スバルのソルテラ改良版に最速試乗した(写真:筆者撮影)
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スバルのEV「ソルテラ」改良版(日本仕様)のプロトタイプに、いち早く試乗した。同車はスバルとトヨタが共同開発したEVで、2022年から発売されており、今回が初めての大幅改良となる。スバルのEV関連の動きをまとめると、短期間に多様なモデルが登場した。ソルテラ改良版の実態を深掘りしながら、スバルのEV戦略の全体像を紹介する。

(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)

 スバルのEVの筆頭は「ソルテラ」の改良モデル(北米仕様)で、4月の米ニューヨーク・モーターショーで世界初公開された。加えて、オフロード志向を強めた新型EV「トレイルシーカー(欧州向け名称:Eアウトバック)」を発表。これらはグローバル市場でCセグメントと呼ばれる中型車に属する。

 ボディサイズが小さいBセグメント向けとしては、7月に欧米で新型「アンチャーテッド」が公開された。

 第2回ジャパンモビリティショー(一般公開10月30日〜11月9日)ではトレイルシーカーの日本仕様が登場することも明らかになっている(詳細はこちら)。

スバルのEV戦略の見通し

 こうした一連のEVは、昨年11月のスバルビジネスアップデート(経営方針のアップデート)で示された電動化戦略に沿ったものだ。スバルは2026年度末までに、トヨタ自動車とのアライアンス(事業連携)によるSUVのEVを合計4モデル市場投入するとしていた。

 4モデルとは、トヨタ「bZ4X」の兄弟車としてトヨタが製造するソルテラ改良版、スバルの群馬県矢島工場で生産するトレイルシーカー、トヨタ「CH-R+」の兄弟車としてトヨタが製造するアンチャーテッド、そしてトヨタのアメリカ国内工場で生産する予定の中大型EVのことだ。

 さらにその次のEV戦略としては、自社開発のEVを新設する群馬県大泉工場で製造する予定だ。

 ただし、大崎篤社長は2026年3月期・第1四半期決算の際、これまで掲げてきた1兆5000億円の電動化投資のタイミングと内訳の見直しを示唆しており、大泉工場での新型EV生産計画については流動的な情勢だ。

 スバルの主戦場である北米でハイブリッド車の需要が拡大しており、「クロストレック」と「フォレスター」で先行して搭載を始めたストロングハイブリッドシステム(S:HEV)の増産に力を入れる方針へと転換している。

 このように、スバルとして市場動向に敏感に対応しなければならない状況の中で世に出たソルテラ改良版だが、その走りは改良前とは大きく違い、上質かつ迫力ある走りであった。