政権安定のため、99年1月には小沢一郎氏率いる自由党と連立を組むことになった。だがそれでも参院では過半数に届かなかった。

 細川政権で行動を共にした小沢氏の自由党がすでに自自政権を作っていたこともあったのだろう。安定政権を模索する自民党と学会攻撃を止めたい公明党の思惑が一致して、99年10月に自民党、自由党、公明党による自自公連立政権が誕生した。

公明党は給付金、手当、無償化に熱心だが…

 小渕内閣で自自公連立が成立した背景には、公明党が提案した1人2万円の「地域振興券」配布を小渕内閣が受け入れたこともあった。「地域振興」、これこそ公明党の真骨頂の発揮ということだろう。

 児童手当などは、公明党が連立参加後、支給対象や額が大幅に拡充されたと誇っている。児童手当は、公明党が“生みの親”“育ての親”とも言っている。まるで他党は主張していなかったようだ。バリアフリーや教育の無償化もそうだ。すべて公明党が参加した自公政権の成果だそうだ。

 コロナ禍で安倍晋三首相は、当初、新型コロナウイルス等の影響により収入が大きく減少した世帯に対して「一世帯あたり30万円の現金給付」を表明していた。国民民主党の玉木雄一郎代表が、「全国民への現金10万円一律給付」を盛り込んだ経済政策を発表、自民党若手議員や公明党などからも同様の要求が上がった。その結果、一律10万円が実行された。石破政権でも自公の間で2万円給付が参院選の公約として打ち出されたが、国民には受け入れられなかった。

 国民に直接現金給付というバラマキのやり方は、政治の在り方として真っ当なものではない。確かに、コロナ禍は経験したことのない深刻な事態であった。だが一人10万円でどれほど生活の困難がなくなり、先を見通すことができるようになったのだろうか。結果的に財政は悪化した。