連立離脱を決めた公明党の斉藤代表(左)と自民党の高市総裁(写真:共同通信社)
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(山本一郎:財団法人情報法制研究所 上席研究員・事務局次長)

 最高に面倒くさいことになっている自由民主党と公明党の連立解消を巡る残念な状況と今後の政局の展開についてなんですが。この問題は単なる政党同士の対立ではなく、長年にわたる両党の関係とその根底にある国民の政治不信、そして総理の座を巡る緊迫した状況が複雑に絡み合っていることがわかります。

 まあ、皆さんいろんなことは仰いますよ。お立場や考え方によっては、この手の、まるで熟年離婚のような寸劇は「苦労しているかみさんを長年顧みなかった亭主が悪い」とか「妻も、いざ別居となるとひとりではやっていけないから別の男に走るんじゃないか」などなど、いろんな無責任な野次が飛び交うのが常です。

 私もこんな状況でないならば、割とウキウキで双方に対して「お前らいい歳して何してんだよwww」と野次っていたであろうことを考えると、いま好き放題論評を書いている人たちに対して「静かにしろ」と申し上げる資格などどこにもないのです。

 そんな熟年離婚という意味では、両党は26年間にわたり政策を共にし、その政策によって救われてきた多くの国民、いわば「子どもたち」が存在しています。

 比喩としていいのかどうかは分かりませんが。母親が嫌いな男の子も、ママが大好きな女の子もいたとして、ただ現実的に考えれば別れる夫婦どちらも展望らしきものもなく、とりあえずやっていることに不満があり腹が立ったから突き付ける類の離婚はおおむね望まれないものであり、子どもの成人後もまだ教育費がかかるような状況です。

 単なる政局の駆け引きでは済まされない、深刻かつ具体的な政策上の影響を伴う問題だと言えますが、ま、私が言うのも何ですが自民党が悪いと思います。

 離婚調停になったら、家庭裁判所の判事は「自民党側がこの責任の99.9%を負っている」という認識が示される類です。いままで自民党が公明党にかけてきた迷惑を考えれば、土下座で詫びてお家に帰ってきてとお願いするべきものもありつつも、公明党側にも別れ方について再考の余地があるという意見も出ています。

 連立解消の議論がここまで過熱したのは、もちろん公明党側の「不満」が限界に達したことが最大の原因です。その根幹にあるのは、報道の通り、自民党の「政治とカネ」の問題でした。実際、公明党さんも創価学会の皆さんも、みんなそう仰るのできっとそうなのでしょう。