総裁選に勝利した高市早苗氏(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
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(山本一郎:財団法人情報法制研究所 上席研究員・事務局次長)

 10月4日に行われた自由民主党総裁選挙は、高市早苗さんが新総裁に選ばれるという結果で幕を閉じました。高市新総裁には心からお祝い申し上げます。

 決選投票直前の演説も、前回の総裁選での反省も踏まえてか、かなりきちんと仕上げてきた感がありましたし、今度こそはきちんと考えを各議員に、国民有権者にきちんと伝えるのだという意欲に満ちあふれた、非常に高市さんらしい内容だったと思います。

 高市さんの総裁選出で、衆参両院で少数与党という厳しい政治状況の中での総裁就任、そしておそらく日本で初めての女性総理大臣誕生という歴史的な瞬間を迎えようとしています。党の再生と国民の信頼回復という大きな課題を背負っての船出となりますが、この国難を乗り越えていただきたいと心から願っております。

 実を言えば、投開票前日の10月3日までは、大方の予想通り小泉進次郎さんの勝利がほぼ確実だろうと見ていました。陣容的にも、また下馬評としてもその活動にかなりの手ごたえがあるのか、大変な自信に満ちあふれた小泉進次郎さんの力強い言葉が織り成すスピーチもまた非常に印象的でした。

 道中、実力者でもある林芳正さんの追い上げはあるものの、一次投票での票読みでは進次郎陣営が99票から105票程度を固めているとされ、そこから決選投票で票が上積みされることを考えると、党員票が都道府県連票に圧縮される仕組み上、高市さんの逆転は困難だと思われていたのです。

 実際、各メディアが実施した情勢調査では、党員・党友さん票の動向はほぼ正確に捉えていました。ところが今回は、一次投票における議員票の動きを20票以上読み違えるという事態が起きました。

 後から総裁選の放送を見ましたが、一次投票の途中までは穏やかな笑みもたたえていた小泉さんの表情は一変、決選投票に挑むに当たってはかなり険しいものになっていたのを見ると、ここで話がいろいろ違うことを悟ったに違いありません。

 この議員票で高市さんを突き放す作戦が実際には議員票80票にとどまったこと、これは相当大きな誤算だったと言えます。

 私自身は今回、特定の候補を応援する立場ではなく、関係する議員との個人的なつながりで相談を受けたり、陣営間で情報を伝達したりという、いわば裏方のような役割を担っておりました。まあ、いい歳して伝書鳩をやっとったわけです、バイトリーダー的に。

 さすがの私も議員でもない身で何をやっているのかと自問しながらも、なんというか頼まれれば断れない性分でして…。