アマゾンが買収したホールフーズ(2017年8月28日、写真:AP/アフロ)
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 米アマゾン・ドット・コムが食料品事業において新たな施策を打ち出し、米国の小売業界で注目を集めている。

 同社は、これまで個別のサービスとして扱うことの多かった生鮮食料品を、日用品や家電といった他の一般商品と同じ通常の当日配送ネットワークに統合すると発表した。

 これにより、数千万人のプライム会員は追加料金なしで、これらを一つのカートでまとめて注文し、数時間以内に受け取れるようになった。

ワンストップショッピングの完成形

 8月13日の発表によると、アマゾンは米国の1000以上の都市で、青果、精肉、乳製品、冷凍食品といった数千点の生鮮食料品を当日配送の対象に加えた。

 このサービスを2025年末までに2300以上の都市に拡大する計画だ。

 最大のポイントは、このサービスがアマゾンの既存の当日配送網に完全統合された点にある。

 これにより利用者は、例えば「夕食用の鶏肉や朝食用の牛乳1パック、子供の文房具、そして読みたかった小説」をまとめて注文し、1回の宅配荷物として数時間以内に受け取ることが可能になった。

 アマゾン小売事業CEO(最高経営責任者)のダグ・ヘリントン氏が「牛乳と家電を、オレンジとミステリー小説を同時に注文できる」と説明するように、利便性の高いワンストップショッピング体験の実現を目指している。

 プライム会員であれば25ドル(約3700円)以上の注文でサービスを無料で利用できる。

 最低注文額に満たない場合の手数料は2.99ドル(約450円)に抑えた。

 この手軽さは、米宅配代行大手のインスタカートや米小売最大手ウォルマートの「Walmart+」を強く意識したものだ。

 米CNBC英ロイター通信によると、この施策の発表直後、インスタカートの株価は11%以上急落し、米スーパーマーケットチェーン大手クローガーや、ウォルマートの株価も軒並み下落した。

 市場はこの動きを大きなインパクトと受け止めたようだ。