(撮影:榊 水麗)
共に成長し500年企業を目指す
「事業譲渡からこの春で4年目、菊の司酒造は創業253年になります。今後は、なぜ岩手の酒造りがこれほど長く受け継がれてきたのかを見つめ続けながら、伝統文化を守っていきたい。そのために、雫石の契約農家さんに協力してもらいながら酒米づくりに取り組み、雫石周辺の小中学生の子どもたちの社会科見学も積極的に受け入れています」
酒米の収穫には貴和子さんも参加。酒造りの現場にも積極的に参加して様々なアイデアを発見している
「そして、今の私にできることとして、もっともっと商品力強化を図っていきたい。私が日本酒に関わってからたった3年間でもトレンドは変わっています。女性でものみやすいフルーティーなものから、食事と一緒に楽しめて熱燗でも美味しい超辛口タイプ、そして海外を視野に入れた高級酒など……やれることはまだまだ無限にあると思います」
最近の人気作「純米酒 超辛口 七福神」。貴和子さんがボトルデザインを担当した。熱燗でも美味しい、菊の司酒造No.1のキレを追求する1本
貴和子さんがアンテナを張り巡らせているのは、味やデザインだけではない。今、注目している一つが、空気に触れずに新鮮な状態で酒を届けることができる真空パウチパックだ。食品や化粧品など、女性に身近なアイテムがヒントになっているという。
「でも、歴史ある蔵を継いだからこそ、新しくすることだけがいいわけではないと感じています。新たに入ってきた私たちが教えたり変えたりするだけでなく、伝統を受け継いできた人たちから返ってくるものと共鳴し重なっていくことで、人も酒も会社も成長します。そして、経営陣も従業員も全員でビジョンを追求し続けていくことが成功につながるのだと思います。異なる視点を大切にし、話し合いを続けて、その時に最高のものをみんなで一緒につくっていきたい。その先に、創業から253年の年月を超える歴史を刻み、500年企業になることが目標です」
菊の司酒造株式会社
岩手県岩手郡雫石町長山狼沢11-1
https://www.kikunotsukasa.jp/







