外国人雇用を成功させる中小企業4社の工夫(写真:WavebreakMedia/イメージマート)
~ 中小企業の今とこれからを描く ~
日本政策金融公庫総合研究所では、中小企業の今とこれからの姿をさまざまな角度から追うことで、社会の課題解決の手がかりを得ようとしています。最新の調査結果を、当研究所の研究員が交代で紹介していきます。今回のテーマは中小企業と外国人雇用です。
(西山 聡志・原澤 大地:日本政策金融公庫総合研究所)
前回は、外国人雇用を通じてさまざまな成果を得ている中小企業を紹介した。外国人雇用は企業の人手不足を補うだけでなく、成長戦略の一つとなりつつある。
ただし、言語や文化の違いから外国人の育成や定着に苦労する企業は少なくない。そこで今回は、外国人雇用を成功させるために独自の取り組みを行う企業の事例を紹介したい。
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広がる外国人雇用―経営の最前線に学ぶ課題、工夫、成果―|同友館オンライン 人手不足の深刻化や国際化の進展により、外国人を雇用する企業が増えています。外国人雇用に当たって企業が抱えている課題や行っている工夫、そして外国人雇用を通じて得られた成果について、アンケートとヒアリングをもとに分析した一冊です。
電動ドライバーでの作業後に…
内装工事業を営む千葉県習志野市の株式会社東京志村(従業者数38人、うち外国人23人)は、採用面接での見極めに力を入れている。
コロナ禍前までは社長自らが海外に行き、採用候補者を5人1組とした集団面接を行っていた。その際、電動ドライバーを使った簡単な作業をしてもらう。面接終了後、候補者に片づけるよう指示を出して社長は退出する。
候補者が全員退出してから再び面接室に戻ると、最後まで手を抜かずにきちんと片づけをした人とそうでない人とではっきり分かれる。重視するのは作業の出来ではない。この片づけこそが、真面目な人材を採用するためのポイントなのだ。1996年に初めて外国人を雇用して以来、多くの外国人を見てきたからこその着眼点である。
コロナ禍以降はオンラインで集団面接をしている。ここでも候補者の人柄を見極める工夫を凝らしている。候補者が受け答えや作業をする席と待機用の席を面接室にそれぞれ設け、1台のカメラで撮影する。そして、最後まで集中して面接に臨んでくれた人を選んでいるという。
能力は採用後に高めることができる。育てたいと思える人材を発掘するための同社の着眼点は、ミスマッチを避けるうえで大きな役割を果たしている。
多くの外国人の職人が内装工事を行う(写真:株式会社東京志村提供)
