「日七未の父親である友太君は、“生きるため”に働き続けなければなりません。日中の介護を担うことは現実的に困難です。
また、医療的ケア児の介護には、専門的な知識と継続的な体力が必要で、命の責任を家族だけで背負い続ける現実はあまりにも重すぎます。この状況は、医療的ケア児とその家族が抱える社会全体の課題であることを、この立場になって初めて知りました」
「過失による事故で胎児が死傷しても加害者は罪に問われない」そんな馬鹿な…
そんな中、加害者の女性は6月11日、過失運転致死の罪で起訴され、6月13日に保釈されました。しかし、起訴状には、重度障害を負って事故後に生まれてきた日七未ちゃんの名前は記載されていません。刑法では、『胎児は母体の一部』とされていて、過失による事故で胎児が死傷しても、原則として罪に問われないとされているからです。
こうした検察の判断にどうしても納得できなかった家族は、8月19日、『妊婦の死亡事故 緊急帝王切開で産まれ、重度の障害を負いながら懸命に生きる娘は被害者ではないのか?「胎児への加害行為に対して過失運転致傷での起訴を求めます」(起訴後は厳罰を求めます)』と題したオンライン署名を開始しました。
沙也香さんの夫・友太さんは、署名の呼びかけ文に次のように記しています。
【胎児への加害行為について、「胎児は母体の一部」とする学説により、過失による事故で胎児が命を落としても、原則として罪に問われないとされています。しかし、熊本の水俣病事件では、最高裁が「胎児に加えられた侵害が出生後に人に死傷の結果をもたらした場合、業務上過失致死罪が成立する」と判示しています(昭和63年2月29日決定)。この判例は、胎児期の加害行為にも刑事責任が問える可能性を示しています。(中略)
加害者が奪ったものは一人の命だけではありません。二人の人としての尊厳が正当に扱われることを願い、胎児への加害行為に対する過失運転致傷罪での起訴を求めます。】
署名には大きな反響があり、わずか4日(8月22日時点)で、すでに6万件を超える賛同が集まっています。
水川さんも、日七未ちゃんの祖父の立場として、こう呼びかけます。
「多くの方がこの事故に心を寄せ、現行の法律に疑問を持ってくださったこと、本当に心強く感じています。たとえ加害者に刑罰が科されたとしても、娘の命は戻りませんし、孫の未来も取り戻すことはできません。それでも、娘たちが残してくれたものが、少しずつでも社会を動かす力になっていくことを願ってやみません。そして、私たちの声が、誰かの命を守る力の一因となることを、心から願っています」
刑事裁判の初公判は、9月2日午前10時50分から、名古屋地裁一宮支部にて開かれます。検察は今後、日七未ちゃんの被害についてどう判断するのか、注目していきたいと思います。
【オンライン署名】
妊婦の死亡事故 緊急帝王切開で産まれ、重度の障害を負いながら懸命に生きる娘は被害者ではないのか?「胎児への加害行為に対して過失運転致傷での起訴を求めます」(起訴後は厳罰を求めます)
【夫・友太さんへのインタビュー記事】
「我が子を抱くこともできず、妻は逝った… 出産目前の交通事故 帝王切開で生まれた子は今も意識不明」(柳原三佳)Yahoo!ニュース エキスパート
家族が集った水川さんの還暦祝い。沙也香さん(後列右)は、家族への想いを大切にし、記念日にはイベントを用意するなど、いつも家族が笑顔になるひとときを演出してくれたという(遺族提供)*写真は一部加工しています








