「娘の命を奪われ、孫の未来まで失った私たち家族の心には、癒えることのない、深い傷が残されました。どれだけ時間が経っても、何ひとつ元には戻っていません。妊婦さんを見かけるだけで胸が苦しくなり、テレビに映る赤ちゃんの姿に、涙が溢れそうになるのです」
用意されたベビーベッドは今も沙也香さんの実家に置かれたままだ(遺族提供)
突然の事故は白昼の住宅街で…
事故は2025年5月21日、一宮市の市道で発生しました。以下は、本件を報じる新聞報道です。
『一宮で重体事故』
21日午後3時45分ごろ、一宮市木曽川町門間東島海の市道で、路上を歩いていた30代くらいの女性が後ろから来た軽乗用車にはねられた。女性は病院に搬送されたが、意識不明の重体。
一宮署は、自動車運転処罰法違反(過失傷害)の疑いで、車を運転していた同町門間角田、無職児野尚子容疑者(49)を現行犯逮捕した。署によると、容疑を認めている。現場は中央線のない道路。
(2025.05.22 『中日新聞』尾張版)
事故現場。沙也香さんは右側の路側帯を歩行中、後方から走行してきた加害車にノーブレーキではねられた(遺族提供)
水川さんは語ります。
「事故が発生したのは、小中学生が下校する時間帯、しかも住宅地で、見通しの良い直線道路でした。娘は右側の路側帯を歩いていたのですが、そのとき、被告人の運転する車がノーブレーキのまま、逆走状態で後方から突っ込んできたのです。娘は衝突地点から約15メートル先に倒れていたそうです。もしそこに、小学生の集団がいたら、さらに甚大な被害が生じていたかもしれない、極めて危険な状況でした」