投手をやるのに、どれだけの練習と準備と調整が必要か。野手についてもおなじだ。
プロの世界では、どちらかをやるだけでも精一杯なのに、両方やることがいかに超人的努力を必要とするか、プロ野球選手はみんなわかっているのである(だからカーショーほどの投手が、あれほど大谷を絶賛するのだ)。
もちろん素人にも、野球選手の技術のすごさはわかる。
外野フライひとつとってみても、打球の方向と距離感を瞬時に把握して、楽にキャッチする技などほとほと感心する。
草野球を見てみれば一目瞭然である。
ところが、ファンというものは自分勝手なものである。
初回にホームランを打っていても、いまここで打たなければ、「なにやってんだ」と批判するのである。
いや、あの試合では、さよならホームランや満塁ホームランを打ってくれたからなあ、と思い出すことはあるにしても、問題は「いま」なのだ。
大谷にはそこが弱いという印象がある。
実際に得点圏打率は、ナ・リーグでカブスの鈴木誠也(22位で.302)にも及ばず、大谷は68位の.233である。
わたしはこれが歯がゆい。
勝手なもんで、大谷があっさり三振すると、ばかじゃねえのか、と思う。
天が二物も三物も四物も与えていても、だめである。
大谷の魅力は数字では表しきれないのに
メジャーは次々と、「OPS」(出塁率と長打率を足した数字。打撃の総合力を表す)やら「WAR」(走攻守の総合力を示す指標)などのデータを生み出す。
日本のメディアは、試合に負けても、大谷が打てばそれでいいから、「驚異の3戦連発」とか「豪快41号」などと書く。ホームランが出ないと、複数安打や、連続安打、連続出塁などを強調して、無理やり持ち上げる。
またメジャーがこういう数字を出すものだから、日本のニュースも得意そうに、大谷の今度のホームランは「打球速度は160キロ、飛距離118.6m、角度は33度」といい、褒めたがる。
あほが。こんなデータ、野球ファンのだれがうれしがってるというのか。