「今後の災害でもデマはなくならない」
──昨今では、災害時にSNSで誤った情報が拡散するケースが増えています。
木村:おっしゃる通り、これまでの災害でも数多くのデマが飛び交いました。今後の災害でも、デマはなくなりません。これは断言できます。
人は不安な状況に置かれると、自分の置かれた状況を把握しようと、いつも以上に情報を集めようとします。そして、正確性に乏しい情報であっても、少しでも自分の不安を和らげてくれるものであれば、そのまま受け入れてしまう傾向があります。
さらに、自分が得た情報を「誰かに伝えなければ」と思って集団に拡散してしまう。これは、人間が社会的な動物であるがゆえの自然な行動です。
もちろん、故意にデマを広める人もいますが、「善意の誤解」から起こるものも多くあります。だからこそ、私たちは「そもそも災害時には不確かな情報が必ず流れるものだ」と、平時から理解しておく必要があります。
重要なのは、ファクトチェックです。情報の発信元を確かめたり、国や自治体の公式サイト、信頼できるメディアなどを通じて、自分が目にした情報が正しいかどうかを確かめたりする習慣を持つこと。
特に災害時には、感情が揺さぶられるような情報がやってきたとしても、ひと呼吸置いて、「本当か?」「それは自分が拡散すべきものか?」と情報の真偽を確認すること、そして「真偽不明の情報の拡散にはいたずらに加担しない」と強い意思を持つことが自分や他人を守ることに繋がります。
誤った情報に振り回されてしまうと、最終的には情報の海に溺れてしまい、何が正しいのかを見失ってしまいます。災害時の情報は命に直結するものです。だからこそ、日ごろから情報の収集の仕方、情報との付き合い方を意識しておくことが大切です。