戸籍に氏名のフリガナが記載されるメリット

 自治体の対応方法としては、基本フォントファイルを使う、あるいは経過措置として従来の外字体系を使用(連携時のみMJ+へ変換)することになる。

 ただし、基本フォントファイルを使うにしてもIVS対応する、または後方互換PUP を使うという2パターンとなる。そして+部分は国際標準ではないため、国際標準化された際にはデータを含めコード変換作業が必要となる。

 このように氏名漢字は迷走を続け、いつになったら決着するのか皆目見当もつかない。このような時に登場したのが「フリガナの法制化」であり、今まで脇役であったフリガナが主役に躍り出る可能性を持っている。

 これまで氏名のフリガナは戸籍の記載事項とされておらず、戸籍上公証されていなかった。だからマイナンバーカードや運転免許証を見てわかるように、氏名漢字は記載されているがフリガナは記載されていない。法的に正しいフリガナを根拠づける台帳が存在しなかったからだ。

 それにしてもなぜ今頃になってと思う方も多いだろう。一般的に、世界で通用する身分証明書としてはパスポート(旅券)が使われており、氏名がアルファベットで記載されている。しかし、そもそもフリガナが公証されていなければ正しいアルファベット表記などできない。このような状態がずっと放置されていたのが我が国だ。

 フリガナが戸籍の記載事項ではなかったということは、住民基本台帳においても同じである。しかし、実際にはシステム上フリガナが振ってある。なぜならフリガナがないと、データベースの検索ができないからだ。

 氏名の漢字で検索すれば良いと思うかもしれないが、これは前述したようにまさに不可能。人間の目で6万~7万もの漢字を見分けることなどできないからだ。

 今回の改正で法務省は「戸籍に氏名のフリガナが記載されるメリット」として次の3点を挙げている。