イスラエル攻撃の影響は週明けには沈静化か?
イラン石油省は13日「イスラエルの攻撃で石油関連施設に被害は出ていない」と述べた。同盟国である米国のトランプ大統領は原油価格の上昇を嫌っており、イスラエルがイランの石油関連施設を標的にしづらいだろう。この前提が正しいとすれば、ホルムズ海峡での石油タンカーの航行に支障が出ることはなく、週明け以降、原油価格は沈静化に向かう可能性が高いのではないだろうか。
では、原油を取り巻く需給の状況はどうだろうか。

石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの大産油国が構成するOPECプラスの5月の原油生産量の増加は限定的にとどまったようだ。
ロイターによれば、OPECの5月の原油生産量は前月比15万バレル増の日量2675万バレルだった。サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)の増産が割当量を下回ったため、増加量は限定的だった。
モルガン・スタンレーも同様の見方だ。6月9日付のレポートで「OPECプラスは6月にかけて日量約100万バレルの増産が設定されたにもかかわらず、実際の増産は限定的だ。サウジアラビアの生産が大幅に増加している兆候もない」との見解を示した。
OPECプラスを主導するロシアに逆風が吹いている。
主要7カ国(G7)の大半の加盟国は、米国が賛同しなくても、ロシア産原油の取引価格の上限を1バレル=60ドルから45ドルに引き下げる方針を固めている。これにより、ロシア産原油の輸出は減少するかもしれない。
このように、OPECプラスの増産による目先の供給過剰懸念は薄れている。