米国は李政権への中国の影響を懸念
李在明大統領は、対日関係でも実利の面から融和と強硬を使い分けるのだろう。経済が苦境にあるため、しばらくは融和であるのだろうが、どこかのタイミングで強硬的に転じるはずだ。
その要因として考えられるのが、アメリカ政府による李大統領への不信感だ。李大統領就任の当日、新政権に及ぶであろう中国の影響力に対し、ホワイトハウスは懸念を表明している。また、韓国の大統領は通常であれば就任の翌日までにアメリカの大統領と電話会談をしてきた。だが、李大統領は就任から2日経っても、電話会談が実施される様子はない。
そうした現状に対し、韓国が同盟関係から離脱するのではないかとアメリカが疑心暗鬼になっているとの分析が、韓国メディアにより報じられている。
アメリカの懸念も無理はない。李大統領は中国包囲網への参加に消極的なのだ。「中国と台湾との喧嘩は韓国と関係がない」と発言し、台湾有事の際は不干渉の立場を仄めかしている。まさに、コリア・リスクだ。
実際にその方向に傾けば、日米韓の連携が崩れ、対日関係は悪化する。それどころか、東アジア地域全体が不安定になる。韓国は、主要貿易相手国である中国とも良好な関係を維持する必要があり、中国包囲網からの離脱を含めたコリア・リスクは、李政権下ではかなりの現実味をもつ。
日韓関係悪化のもう一つの可能性としては、社会統合の失敗である。