ストロングハイブリッドに近い上質感

 先代モデルは、進行方向に対して左右方向への「ヨー(回転)」を実感しながらコーナーリングする、「いかにも水平対向エンジン」というイメージのサスペンションセッティングだ。

 それが新型では、ハンドルを切った分だけしっかり旋回し、クルマ全体の動きが穏やかだ。つまり、ハンドリングの方向性としては、ストロングハイブリッド車に近い、上質感があるのだ。

 パワートレインについても、少ないアクセルワークでエンジンと変速機構の反応が速いことが、上質なサスペンションセッティングの良さを後押ししている。ターボによるトルクの太さはエンジン回転数によらず、途切れ感がなく、どの速度域でも走り味が上質スポーティである。

 総じて、先代モデルと比べて、ハンドルの操作量が少なく、それでもクルマの動きの先読みがしやすいので、運転中の疲れが少ないという印象だ。

フォレスターSPORTの車内の様子(写真:筆者撮影)

 もう1点、大きな変化はアイサイトXの採用だ。これはSPORTに限らず全グレードが新型から採用したもの。アイサイトXは現行「レヴォーグ」から採用され、その後に改良が進んでいる。新型フォレスターでは、前車を追従時の減速のスムーズさ、合流地点での周囲車両の検知度合いの確かさなど、使い勝手が上がっていることを実感した。

 こうしたアイサイトXのきめ細やかな制御と、SPORTの上質なスポーティ性とのバランスがとても良い。

 唯一、SPORTを選ぶ際に気になるのは燃費だ。ストロングハイブリッド車は18インチタイヤ装着でWLTCモード18.8km/Lに達しているのに対して、1.8ターボは13.6km/L。

 それでも、この水平対向ターボAWDの感覚は、他では味わえないスバルらしさであり、やはり気になる存在だ。

 新型フォレスターのグレード選び、SPORTという選択肢も楽しい。

桃田 健史(ももた・けんじ)
日米を拠点に世界各国で自動車産業の動向を取材するジャーナリスト。インディ500、NASCARなどのレースにレーサーとしても参戦。ビジネス誌や自動車雑誌での執筆のほか、テレビでレース中継番組の解説なども務める。著書に『エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?』『グーグル、アップルが自動車産業を乗っとる日』など。
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