3.インバウンド中国人旅行客増加の背景

 中国側の日本人向け短期滞在ビザ免除措置に呼応する形で、日本政府も中国人向けの観光ビザ発給要件を緩和した。

 その内容は、個人の観光マルチビザ取得要件の緩和と団体の観光ビザ滞在可能日数の延長(15日→30日)である。

 中国政府もこれに合わせて、中国の旅行会社に対する訪日ツアー実施抑制指導を緩和してきていると見られており、ツアー客も徐々に回復しつつある。

 それでも現在の中国人訪日客の中心はリピーターの個人旅行客である。

 個人旅行はツアー旅行に比べて費用が高いことが多く、個人旅行で日本に来る中国人の収入はツアー旅行客に比べて平均的に高い。

 このため、消費行動も安物の爆買いには走らず、自分自身の嗜好にあった高付加価値の製品やサービスを定期的に繰り返し購入するケースが多い。

 そうした中国人は所得水準、教育水準とも高い傾向にあるため、レストラン、ホテル、交通機関等でのマナーもよく、日本人とのトラブルを起こす確率も低い。

 最近の日本の報道を見ても、外国人旅行客のオーバーツーリズム問題が深刻化する中で、中国人旅行者のマナーが相対的に良いという評価を目にする。これは上記のような個人旅行者の特徴によるものである。