+α(おまけ):万博サウナ「太陽のつぼみ」(設計:小室舞)
リングの西側にはもう1つ、若手が設計した施設がある。①の「展示施設」を設計した小室舞氏(KOMPAS)による万博サウナ「太陽のつぼみ」だ。

これはプロポーザルで選ばれた若手20組の施設とは関係なく、小室舞氏が事業主体から設計者に起用された。以下、事業主体である太陽工業のプレスリリースより。
「太陽のつぼみ」は大阪・関西万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」が体感できるサウナです。花びら風の空気膜クッションが集まって一つのつぼみとなり、太陽に向かって伸びていくような生命力溢れる美しい造形が特徴です。太陽のエネルギーが海、草⽊、⾵の空気をまとって「太陽のつぼみ」に降りそそぎます。繊細で⼒強い膜が創り出す空間に、⾃然のエネルギーが満ちていき、私たちの⼼と体を調わせ、⼈としての原点に回帰させていくことをイメージしています。

「太陽のつぼみ」では、自然光を透過するETFEフィルム膜材に覆われた空間の中で、期間中に約1万5千人の方が水着でサウナを楽しむことができます。米メルセデス・ベンツ・スタジアム(ジョージア州アトランタ)など、これまでもETFEフィルムを活用した先駆的な建築物は作られてきましたが、「太陽のつぼみ」の躯体では、構造体も兼ねた最小限のアルミフレームとETFEフィルム(厚さ0.25mm、重さ440g)と空気だけで構成したテトラ形状のユニットを初めて採用しました。
テトラ形状にすることで、最小部材で最大限の空気のボリュームを包むことができ、軽量ながら断熱性を備えた膜ならではの柔らかなデザインを実現しています。光を拡散する梨地ETFEを採用することで、太陽の光を鮮やかに映し出し、サウナの中からも自然のエネルギーを感じられます。
「太陽のつぼみ」は、つぼみのように中の熱を閉じ込めるサウナ、光に染まり風が抜けるラウンジ、3Dプリンター技術で作った水風呂の3棟のテトラ型ユニットで構成されています。3棟がデッキスペースで接続されており、繊細で⼒強い膜の技術と⾃然の⼒が織りなす全く新しいタイプのサウナとなります。
また、空気を抜くとコンパクトに収納できるユニット型の躯体や移設しやすい基礎構造により、大阪・関西万博閉会後も新たな地で再構成・再利用することが可能です。
構造材はETFE(エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体)なのか。普通、ETFEは平面として張るか、二重膜にして膨らませて使うので、こんな造形は初めて見た。展示されていた模型もかっこいい。小室舞氏、今後が要チェックの建築家だ。

◎本稿は、建築ネットマガジン「BUNGA NET」に掲載された記事を再編集し、転載したものです。