⑥トイレ3(設計:小俣裕亮)

設計者:小俣裕亮 小俣裕亮建築設計事務所一級建築士事務所 new building office/主用途:トイレ/階数:平屋建/延床面積:249.97m2/構造:木造 一部 空気膜構造

【設計コンセプト】
空気を入れてふくらませる風船のような屋根をもった建築です。屋根を透過した柔らかい日差しが空間を明るく照らし、屋根自体も風速に応じて風量を変えることで形を変化させながら維持コストを抑えるとともに、気温に応じて膜屋根上部に水を溜めて冷却する仕組みをもった膜屋根を計画しました。1970年の大阪万博で様々な実験がなされた空気膜構造を引き継ぎアップデートすることで、環境レスポンシブな構造をつくります。

 うわ、しぶっ!と思わず声が出てしまう。武家屋敷の何かを想像してしまうが、中に入ると、「そうか膜屋根+和か」と狙いがわかる。中央に柱もなく引っ張り材もない。どうしてこんなにスパンを飛ばせるのだろうと思ったら、上の説明文を読んで二重膜構造なのだとわかった。1970大阪万博のお祭り広場大屋根やアメリカ館の延長線上ということか。

 説明文にある「屋根自体も風速に応じて風量を変える」ってどういうこと? と思い、小俣裕亮氏のXを見てみたら、こんな説明があった。

「天候によって空気膜屋根が膨らんだりしぼんだり風に揺られたり水浴びをしたりします。空気膜構造の送風コストを下げることで環境に応答する構造をつくりました」。「暑い日は内圧と重量がつり合うように屋根の上に水をためて、冷却したのちに加圧して押し流します」。なるほど、なかなか深い挑戦。動画が見たくなる。