2.偽装で身を隠しドローンを狙う狙撃兵
特殊部隊の狙撃兵チームは、2人組になっており、1人は双眼鏡を、1人はスコープが付いた狙撃銃を持って行動する。
公表された写真の中でも特異な写真がある。2人の狙撃銃の銃口も双眼鏡も斜め上方を向いている。
写真2 斜め上方を狙う狙撃兵チーム

斜め上方を狙うのはなぜか。射撃目標がその方向にあるためである。
ということは、敵兵ではなく飛行するドローンかヘリコプターである。目標がヘリコプターの場合、補佐者がわざわざ双眼鏡で目標を探す必要はない。
だから、狙うのはドローンである。
双眼鏡を持つ1人がドローンを見つけ出し、狙撃手に目標の方向と距離を伝える。そして、狙撃手が狙撃銃でドローンを撃墜するというものだ。
狙撃チームが、木々や草地に紛れて隠れているのは、敵のドローンに発見されずに、友軍の兵を追いかけて攻撃してくるドローンを狙って射撃し、撃墜する考えなのであろう。
なるほどと思う点もある。
だが、通常の狙撃では遠くの重要目標を1発で仕留めるために、銃身が振れないよう、銃を固定する脚を使う。
さらに安定させるために、脚を土嚢(どのう)で固定することもある。
ドローンという目標は、小さく動き続けている場合が多い。そのような標的を脚で銃を固定せず、射撃姿勢だけで射撃するのは難しい。
銃身が揺れるために、命中精度が落ちるであろう。
アイデアは認めるが、実際に成果があるのかどうかは疑問がある。これからの実戦の報告を待ちたい。
3.懐中電灯をつけて攻撃する北朝鮮兵
写真3は、市街地で北朝鮮の班・分隊(10人以下)の兵士が建物の内部に入り、暗がりの中で戦う訓練の様子だ。
精鋭な特殊部隊訓練であり、素人目にはすごさ感じるだろう。
写真3 班・分隊員が建物の内部の暗がりで戦う訓練の様子

この写真では、建物内の暗がりにいる兵士全員のヘルメットに装着している懐中電灯の明かりが目立っている。
野外で戦闘する兵士のヘルメットにも懐中電灯が装着されている。過去の訓練やパレードでは、ヘルメットに懐中電灯は装着されていなかった。
今回の写真で初めて確認されたことだ。これも、ウクライナ戦争で夜間に攻撃を受けて、多くの損失を出した教訓なのかもしれない。
だが、戦闘行動で懐中電灯を灯すことは絶対にあり得ないことである。
暗闇では通常、ヘルメットに暗視装置を装着する。暗視装置は光を発することはないので敵に発見されない。
一方、暗闇で光を発すると遠くの敵から先に発見され撃たれてしまう。
北朝鮮軍特殊部隊は、軍事パレードでは暗視装置を装着して行進しているので、北朝鮮は暗視装置を保有しているはずだ。
それなのになぜ、懐中電灯を使用するのか。
パレードで装着していた暗視装置は偽物で、暗闇では見えないのではないかという疑問が湧く。
写真4 特殊部隊兵の暗視装置は偽物か
