新橋で街頭演説会に臨む国民民主党の玉木代表(写真:アフロ)新橋で街頭演説会に臨む国民民主党の玉木代表(写真:アフロ)
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 結党からの4年間、政党支持率が一向に上がらず、「1%政党」と揶揄されてきた国民民主党。だが、2024年10月の衆院選で7議席から28議席と議席数を大きく増やし、一躍存在感を高めた。このまま今夏の参院選でも若者を中心に支持を拡大するのか。『「手取りを増やす政治」が日本を変える 国民とともに』(河出書房新社)を上梓した国民民主党代表の玉木雄一郎氏に聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト)

──2024年10月9日に衆院が解散した日の新橋駅前の演説で、玉木さんは初めて「103万円の壁」について公に語りました。なぜピンポイントに税制の問題にフォーカスしたのでしょうか?

玉木雄一郎氏(以下、玉木):2020年9月の結党以降、私たちは3つの大きな政策の柱を掲げてきました。①給料が上がる経済の実現、②自分の国は自分で守る、③人づくりこそ国づくり。

 日本は30年間、給料が上がりませんでした。「働いてもどうせ給料は上がらない」と若者が思うような国に未来はありません。諸外国と同じように、ちゃんと働けば給料が上がる国にしていくことが何よりも大切です。給料が上がることで年金額の改定率が変わり、年金も上がります。

 厚生年金は現役時代の自分の標準報酬月額という給料に比例して決まります。年金の支給が始まってからの既裁定(裁定が済んだ後の年金額)も、2年前、3年前、4年前の現役の方々の給料の平均値が上がればプラスになるし、下がればマイナスになるという仕組みです。

「給料が上がることによって現役世代が未来に希望を持てるようにしよう」「その結果として年金も増やしていこう」。これが私たちの基本的な考え方でした。

 こうした政策を政府に働きかけたこともあり、高い賃上げが実現し始めたことは良かったと思っています。大企業の賃上げは2年連続で5%を超えました。

 ところが、全国を回ってみると、「確かに給料は上がったけれど、税と保険料も上がって手取りがちっとも増えない」という声が、特に去年の春闘の後から聞こえてくるようになりました。

 そこで、「給料が上がる経済の実現」という政策のアップデートバージョンとして「手取りを増やす」を前面に出して訴えようと考えました。

 給料を上げるのは民間の努力ですが、税や社会保険料の負担を抑えるのは政治の仕事です。2024年のゴールデンウィークから夏にかけて、そのような方針で政策課題を決めていきました。

2024年10月の衆院選で「手取りを増やす」というスローガンを掲げた(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)2024年10月の衆院選で「手取りを増やす」というスローガンを掲げた(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

──前回の衆院選でほとんどの党は「政治とカネ問題」一色でしたが、ずいぶん前から異なるテーマを準備されていたのですね。

玉木:最後まで悩んだのは、どのようなキャッチフレーズでそれを世の中に伝えるかです。