「歌舞伎町全体がクリーンになる日はない」

佐々木:使ったお金に執着しないこと、相手のすべてをお金で買おうとしないことだと思います。

 ただ、歌舞伎町全体が完全にクリーンになる日はないと私は考えています。ホストクラブもキャバクラも風俗も、クリーンにやっていますという店と、アンダーグラウンドで違法すれすれでやっている店の二極化が進んでいくと思います。後者のほうが、行きやすいという人もいるでしょう。

 けれども、歌舞伎町をよりメジャーにし、ホストクラブをエンタメ産業として売り出していくために、無理な支払いや借金を負わせるようなシステムが本当に必要か否か、いま一度考え直す必要があります。

 そこには自己決定論や自己責任論も付きまといます。自主的に夜の仕事をしてでも、ホストクラブでお金を使っていい待遇を受けたいという女性はいなくならないでしょう。

 とはいえ、夜の仕事をしてまでホストクラブに通い続けるのか迷ったときに、立ち止まるきっかけや熟考する機会を設けることは、必要不可欠だと思います。

佐々木チワワ(ささき・ちわわ)
ライター
2000年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。窮屈な毎日に嫌気が差し、高校1年生の大みそかに初めて歌舞伎町に足を踏み入れる。以来、歌舞伎町で働く夜職の人々に惹かれ、自身も一通りの職種と幅広い夜遊びを経験。著書に『「ぴえん」という病』(扶桑社)、『歌舞伎町モラトリアム』(KADOKAWA)、などがある。

関 瑶子(せき・ようこ)
早稲田大学大学院創造理工学研究科修士課程修了。素材メーカーの研究開発部門・営業企画部門、市場調査会社、外資系コンサルティング会社を経て独立。YouTubeチャンネル「著者が語る」の運営に参画中。