なぜ売掛金や立替金が問題視されるのか?

──なぜ売掛金、立替金は消費者庁が動くほど問題になっているのですか。

佐々木:社会には、先払いや商品を納めてからお金を支払う後払いという制度が当たり前のように存在しています。

 普通のビジネスや飲食店であればここまで規制されることはありません。なぜそれがホストクラブに限って問題になるのかと言うと、若年女性が身の丈に合わない借金を背負うことが多々あるからです。

 そのときの担保は容姿や身体です。最悪、風俗で稼げばいいという考えが蔓延していますし、実際に返済のために性風俗や違法売春に手を染める女性が後を絶ちません。与信として、あまりにもずさんではないでしょうか。

 売掛、立替のシステムが売春、買春に繋がりかねないということで、政府も取り締まりを強化しているのだと思います。

歌舞伎町のホストクラブへ立ち入り調査に向かう警視庁の捜査員ら(写真:共同通信社)

 昨今、ホスト業界はメディアへの露出も増え、メジャーなエンタメ産業になりつつあります。そして、その主な客層が若年女性であることは否定できません。だからこそ、借金を背負わせるようなシステムは今後撤廃していくべきだと私は考えています。

 また、ホストクラブを巡る問題では、利用客である女性にばかり目が行きがちですが、ホスト自身も若年男性がほとんどである点を忘れてはいけません。所属する店舗内でプレッシャーを感じて、目先の売り上げのために売掛や立替をしているホストもいるでしょう。

 売り上げ目標を達成するために「最悪自分が立て替えればいい」と思い、利用客に売掛を持ちかけることもあります。立て替えた結果、利用客が返済せずに音信不通になることもあります。そのときに借金を肩代わりするのはホストです。彼らもまた、債務者になり得るのです。

 何十万円、何百万円という借金は老若男女問わず不健全です。それにもかかわらず、ホストクラブでは借金を背負わせるシステムがまかり通っています。そのようなシステムを作り上げたのはホストクラブの運営サイドです。

 若い男性にちゃんとお金を稼がせる、若い女性に無理にお金を使わせない。そのために、運営サイドが売掛や立替というシステムをやめさせるべきでしょう。

──歌舞伎町が平和で楽しく遊べる街になるために、ホスト側、利用客側が気をつけるべきことがありましたら、教えてください。