
生成AIの台頭やDXの加速化などで仕事内容や働き方の変化が激しい今の時代。ビジネスパーソンのキャリア戦略として、「AIに負けない専門性を身につけよう」「スペシャリストになろう」と考える人が増えている。
もっとも、現実にはさまざまな部署に配属され、多種多様な業務に対応できるオールラウンド型の人材、いわゆるゼネラリストになっていく。こうしたゼネラリストはどのように自分の強みを見出せばいいのだろうか。
※この記事は『「何者でもない自分」から抜け出すキャリア戦略~やりたいことがなくても選べる未来をつくる方法~』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部抜粋・編集しました。
ゼネラリストが生まれる理由とその悩み
ゼネラリストは、意図的に目指してなったわけではなく、状況に応じて自然にそうなってしまったケースが多いと思います。
器用にさまざまなことをこなせる「バランサー人間」タイプや、人を支えることが好きなホスピタリティが高い「奉仕型人間」タイプの人は、特定の専門分野に絞らず、結果的に幅広い役割をこなすゼネラリストになりがちです。
また、会社のフェーズが浅い場合、一人で複数の業務をカバーしなければならない状況もあり、これもゼネラリストを生む要因です。
こうしたゼネラリストの方には、次のようなキャリアの悩みが生じやすいものです。ただ、その悩みは裏を返せばメリットを秘めています。どういうことか見ていきましょう。
(1)「広く浅く」の不安
「色々やってきたので、これといったキャリアがありません」という相談をよく受けます。ゼネラリストになりたくてさまざまなことに挑戦してきたという人は少なく、「結果としてゼネラリストになっていた」というケースが多いのは先ほど述べた通りです。
この状態に対して多くの方が「広く浅くの職務で専門性がない」と悩みますが、それは必ずしもキャリアの弱点ではありません。むしろ、ゼネラリストとしての強みを活かすことができれば、キャリアの選択肢は無限に広がります。
(2)「専門性」についての誤解
専門性が高いキャリアを選ぶことがキャリアにおける最善の道と見られがちですが、そうとは限りません。専門性が高い集団の中でキャリアを積んでいくことは魅力的に見えるかもしれませんが、1つの領域で突き抜けられる人はごく稀です。
また、専門性に固執しすぎることで、キャリアの選択肢を狭めるリスクもあります。専門性の高いスキルは特定の分野では強みになりますが、その分野を離れた場合、他のスキルとの掛け合わせが不足し、柔軟性が欠けやすくなります。つまり、選べるキャリアが限られる可能性があるということです。