AIエージェント向けにサイトを作り替えることに等しい

 入店を許可されたロボットは席に着いて、その専用メニューを開く。するとそこには、先ほど説明した通り「機械にも理解できる形式」で、「今日のおすすめは焼き鳥、1本150円、たれ/塩、注文は /api/order へ POST」といったような内容が書かれている。

 それらはAIの脳でも処理できるように要点だけまとめたもので、また「注文する際のアクション」まで教えているので、ロボットは迷わずオーダーできる。店(サイト)の機密と秩序を守りつつ、AI エージェントの動線を最適化できるというわけだ。

 さらに、AIエージェントにとって魅力的な店にするため、「AIエージェントにフレンドリーなUX」を実現することも提唱されている。そのために細かな施策がいくつか挙げられている。

 たとえば、「Core Web Vitals 0.2秒以下」という戦術について解説してみよう。これは「ページの表示を瞬時に行う」というのとほぼ同じ意味で、AIが席に着いた瞬間、0.2秒以内にお通しと専用メニューがテーブルに出されている、といったところである。

 この待ち時間がほぼゼロならば、ロボットはサイトに滞在してくれるが、待ち時間が長いと、次の店(別サイト)へ移動してしまう。

 さらに、AIエージェントがモバイル端末から実行されることも意識して、モバイルファーストでウェブサイトを構築しておくことや、音声検索が行われた場合のために、音声AIエージェントが回答を生成しやすくなるようなコンテンツにしておくこと(タイトルや見出しを「○○とは?」「どうやって?」のような質問形にするなど)も解説されている。

 人間ではなくAIエージェントがウェブサイトを訪問するという前提に立ったとき、いかに改善すべき点が多いかが分かるだろう。それはウェブサイトという店舗全体を、建物からリフォームすることにも等しい。

AAIOはいわば、AIエージェントを念頭に置いた店舗のリフォーム(著者作成)AAIOはいわば、AIエージェントを念頭に置いた店舗のリフォーム(著者作成)