カメムシはいつ大発生するのか?
これらのカメムシの発生量や発生時期を調べる研究はこれまでに多く行われてきた。それらの研究によれば、カメムシの発生量は前年の発生量と冬の気温、その年の気温が大きく影響する。
彼らは成虫か卵で越冬するので、前年の発生量が多く、冬が暖かいと春まで多くの個体が生き残る。そして、その年の気温が暖かいと、順調に世代を繰り返して増え、秋になるころには膨大な数に増えるというわけだ。
また少し意外なことに、果樹カメムシ類の3種はスギやヒノキの花粉の量が多い翌年に発生量が多いことが知られている(森下ら 2001、沼沢・大林 2007)。しかも、かなり影響が大きい。
カメムシたちは秋にスギやヒノキの林に移動し、未成熟な「球果」の汁を吸って冬に備える。球果とは、スギなどに見られる小さな松ぼっくりのような植物の生殖器官である。スギやヒノキの球果が多いほどより多くのカメムシが越冬できる。春の花粉の量が多いと、多くの雌花が受粉するためその年の冬に多くの球果を形成する。
以上のことを踏まえ、2024年のカメムシ発生量に影響を与えたと思われる要因を並べたものが以下の表である。

2024年にカメムシが多かったのは、2023年の花粉量が多かったこと、暖冬だったこと、2024年の春から夏に異常なほどの高温が続いたことで説明できそうだ。
振り返ると、2023年の春は東日本から西日本にかけての広い地域でスギやヒノキの花粉が多かった。そして、冬シーズンは2023年から2024年にかけて暖かく、東京では一度も雪を見なかった人も多い。
2024年に入っても春から夏にかけても高温が続き、東京では3月末に25度を越える夏日を記録している。これらの要因が重なった結果、秋にかけてカメムシが増えたと考えられる。