大学にも分断が飛び火

 台湾民意基金会が3月10〜12日、4月7〜10日に行った民意調査は2回とも、リコールに反対とする回答が過半数を超えていた。民進党支持者の間でも、民進党にとって利益より害が大きいと心配する声が出ている。

 さらに懸念されるのは、大学キャンパスなど教育現場がこうしたリコール署名合戦で動揺し始めていることだ。

 台湾の中時新聞ネットの報道によれば、台湾大学、清華大学、中山大学、政治大学などで、民進党陣営の署名ブースができている。そして宣伝ポスターや大字報(壁新聞)があちこちには貼られ、それこそ、学生、若者の紅衛兵ならぬ、緑衛兵化と思われるような現象が起きているという。緑は民進党のイメージカラーだ。

 親中的な中国台湾サイトによれば、一部の教授たちが、民進党支持の学生たちを「緑のヒキガエル」とさげすんだことで、民進党側の学生たちはイジメだ、圧力だと反論。中山大学では、署名を呼び掛けるポスターを大学側が勝手に撤去したことに対して、学生組合は大学に対して言論の自由を侵害した、と抗議が起きた。

 ノンポリの学生たちは、こうした騒動で学業に専念する静かな環境が損なわれている、と文句を言っているという。

 ある台北芸術大学の女子学生はSNS上で「私はもともとノンポリだったが、青鳥(民進党支持者)が学内に邪教式に進入して大宣伝するものだから、緑陣営(民進党)に反感をもつようになった。」「学校でリコール運動しないでほしい。政治はキャンパスから出て行け」「そもそも与党が野党議員をリコールすること自体が馬鹿げている。青鳥たちの行動は、狂っている」と怒りをにじませた投稿をしていた。

 大学側はもともと、「学生が特定の政治団体のための宣伝活動をキャンパス内で行ってはならない」という立場で、キャンパス内のリコール署名集めを禁止していたが、民進党政権の台湾教育当局は大学におけるリコール署名活動を「尊重する」と擁護したので、大学側も署名活動を容認するようになった。

 中山大学もリコール署名宣伝のポスターを撤去したことを謝罪して、ポスターを張り直すなどの行動をとった。こうした、政権与党の強権的な態度が、ますますノンポリ学生や市民の民進党政権への反感、不信感を募らせる結果になっている。