ビッグマックよりKFC?

 ビッグマック指数で表現できるのは、各国の通貨の強さ・弱さだけではないようです。例えば、日本経済新聞は今年2月7日、「1時間働いてビッグマック2.2個 『スマイル』も安い日本」という記事を掲載しました。

 賃金の増えない日本の現状を示すため、「1時間働いて買えるビッグマックの個数」を各種データから浮き彫りにしたのです。ビッグマック指数そのものではありませんが、時給格差がわかりやすく表現されています。

 それによると、2024年7月時点では、オーストラリアが3.95個、英国と香港は2.56個、米国は2.52個。これに対し、日本で買えるのは2.18個でした。各国との比較でも、賃金の安さを改めて感じさせる結果となったのです。

 一方、通貨の本当の実力(購買力)を知るための試みは、ビッグマック指数だけではありません。

 スターバックスコーヒーのカフェラテを基準にした「ラテ指数」、iPhoneの価格で比べる「iPhone 指数」、世界的家具チェーンのIKEAの本棚で比べる「ビリー指数」なども知られています。

 そうした中でも、ビッグマック指数は最も知名度の高いものですが、マクドナルドはアフリカ地域では店舗数が少ないことなどから、最近は「世界的な規模で比べるならケンタッキー・フライド・チキンの方がいい」という意見も出ているようです。

 世界各地で利用されていて、品質や製造工程がほぼ同じなら、どんな商品でも「指標」になり得えます。「ビッグマック以外にどんな商品が指標にできるだろうか」と考えていくと、難しく感じる為替やマクロ経済にも親しみを感じるのではないでしょうか。

フロントラインプレス
「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年に合同会社を設立し、正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や写真家、研究者ら約30人が参加。調査報道については主に「スローニュース」で、ルポや深掘り記事は主に「Yahoo!ニュース オリジナル特集」で発表。その他、東洋経済オンラインなど国内主要メディアでも記事を発表している。