家族経営の弱点をカバーする中小企業に特化したWebコミュニティ
特許取得や補助金申請なども行いながら、諦めない挑戦心と畳職人ではないからこその視点や発想、家族との強い絆でつくり上げた『リフォーム畳®』。PR活動も功を奏し、大山畳店の新たな事業の柱として成長しているが、惠美子さんは家族経営ならではの不安を抱えていた。
「仕事で悩みを抱えても同業の社長さんたちはライバルでもあるので、なかなか相談できないし、家族だけではアイデアや知識にも限界がある。『リフォーム畳®』をもっと世に広めていきたいけれど、果たして今のやり方は正しいのか……。そんな自問自答を繰り返す毎日でした」
2022年、一本の電話が惠美子さんの不安を払拭するきっかけに。社長同士が語り合うコミュニティサイトから取材を受けることになり、今までにない“つながり”ができたのだ。
「サイトをのぞいてみたら、全く違う業種、異なる地域のさまざまな社長さんたちの本音の投稿や記事がたくさんあって。皆さん、日々課題を抱えながら、私よりもっと果敢にチャレンジしている。“私も頑張ろう!”と、元気をもらいました」
そのサイト「どうだい?」は、2025年3月に3周年を迎えた、社長同士が普段は言えない悩みや自社の課題について語り合うコミュニティ。全国の経営者のインタビュ―記事、経営者が把握すべき知識や最新情報を専門家が解説する記事など、「経営に役立つコンテンツ」も定期的に公開されている。
「取引先以外の方とつながる機会がなかったので、“どうだい?”と出合って視野が一気に広がりました。お互いライバルではないから、何でも話し合える。人の数だけ考え方があり、悩み事の解決方法もたくさんある。事業承継や法人化の方法、人材採用といった、私が今悩んでいるテーマの投稿やコンテンツもあり、日々勉強させてもらっています」

「どうだい?」主催の、経営者向けのセミナーや経営者同士の交流会にも、惠美子さんは積極的に参加している。
「セミナーではメモをとるだけでなく、必ず登壇者の方と名刺交換をします。もちろん、その際は『リフォーム畳®』のお話もさせていただきます。こうした機会を私は大切にしていきたい。“どうだい?”は、私のさらなるチャレンジを後押ししてくれる存在です」


配信で需要拡大 子どもたちと共に家業の新たな可能性を拓く
『リフォーム畳®』の製品化から10年が経過した大山畳店は、新たなステージを迎えている。惠美子さんの息子・勝也さんが父・勝さんの後を継ぎ、美容師だった娘の沙織さんも家業を手伝うようになった。

沙織さんが加入し、『リフォーム畳®』の特徴や施工の様子などをSNSで配信したことで、問い合わせが急増。顧客からも、「車いすで移動がしやすく、介護生活が楽になる」「畳とフローリングの良さを兼ね備えている」「水拭きもできてお手入れがラク」といった評判が拡散されている。
「展示会での対応は、私よりも娘の方が優れています。常に周囲に目を配り、目が合った人にはすぐ声をかけています。会話中に他の人が話を聞きに来ると、その人にも話しかける。そうしていくうちに、いつの間にか娘の周りには人だかりができています。だから、その場で仕事につながるケースも多いですよ。息子も地元の経営者が集まるコミュニティに参加してつながりをつくっており、経営者としての自覚も強くなってきました。これからは主な業務は2人に任せ、私はバックアップに徹しようと考えています」
惠美子さんが50歳で挑戦し、特許を取得した『リフォーム畳®』と、そこに込められた思いは2人の子どもに受け継がれ、さらなる成長の兆しが見えている。その一方で、惠美子さんには新たな悩みや課題もあった。
「より多くの人に『リフォーム畳®』の良さを知ってもらいたいけれど、家族経営には限界がある。今後は法人化も視野に入れながら、人材採用についても考えていかなければならないでしょう。また、特許には期限があります。『リフォーム畳®』の品質を守るためにも、新たに特許を申請すべきです。ただ、複雑な申請手続きは子どもたちには荷が重いので、これは私の役目だと思っています。ほかにも課題はたくさんあるけれど、家族で一生懸命取り組んでいる今がとても幸せです。これからもコミュニティなども活用しながら、課題や悩みを少しずつ解決していきたいですね」

大山畳店
埼玉県八潮市大字木曽根684-1
https://www.reform-tatami.com/