100歳を迎えた江崎玲於奈博士の教育論
去る3月25日、江崎玲於奈博士が100歳を迎えられました。
江崎さんは「創造性を伸ばす教育」の重要性を強調しておられます。大正14年の早生まれというのは、実は死んだ私の父親と同じで、同じ学年に当たられます。
江崎さんは健康に100歳を迎えましたが、私の父は54年前、46歳で亡くなりました。
ソ連に捕虜として捕まったシベリア抑留の強制労働時代にガンの芽を作ってしまい、それが増殖して46歳で亡くなった。
私は両親揃って、この「わだつみ世代」つまり「大正末期」のベルエポックに育ち、母は教師でしたので「戦後の教育はインチキ」「戦後の学術はみせかけ、まがいもの」を子供の頃から聞かされて育ち、教科書も授業も一切信用しない、「旧人類」末裔のひねくれたガキとして育ったので、今こういう原稿を書いているわけです。
それくらい、日本の(公)教育は、ここ80年で空疎化、空洞化し、スポンジのように中身がなくなってしまった。
教育の狂牛病化とでも呼ぶべき事態かもしれません。
「大学で義務教育の教程を教える」のが、問題なのではない。
「義務教育の年齢」で「義務教育の教程」をきちんとマスターさせず、形骸化した履修主義で「できたことにする」GHQ導入の墨塗り教育に調子を合わせているうちに、そもそも教育の本質を見失って80年を空費してしまった。
戦後日本教育すべての負の遺産・ツケが今、回ってきているだけのことに過ぎません。
では、どうすればよいのか?
私は批評屋ではなく、実務に責任を持つセクターの人間ですから、当然対案を持ったうえで、このような指摘をしています。
具体的な教育再生への方策は、別論としてお伝えしたいと思います。