日本でレベル4自動運転が進まないワケ
国は2014年から9年半、次世代技術の実用化を目指す産学官連携プロジェクト「戦略的イノベーション創造プログラム(略称SIP)」を実施し、技術、法律、保険・補償、人材育成など多方面で政策を進めた。
全国各地で自動運転に関する実証試験も行い、2025年度には50カ所程度、また2027年度には100カ所以上での実用化、または実証実験を継続的に行う目標を立てている。

レベル4については、道路交通法を改正して特定自動運行を可能とし、直近では長野県塩尻市が1月9日に特定自動走行の許可を得ている。
このように日本でも国をあげて自動運転の普及を後押ししているにもかかわらず、アメリカでのウェイモのように、市街地で他の交通と混在して多数のロボタクが走り回る光景は実現していない。
その理由は「コストとリスクのバランス」にあると、筆者は見ている。
前述のSIPを筆頭に、日本では産学官で自動運転の実用化に向けて多くの専門家が真剣に取り組み、実際に自動運転を運用する市町村や事業者も様々な可能性を模索してきた。
だが、多くの実証実験は国や自治体の支援がある間だけの、いわば「実証のための実証」で終わってしまうケースが少なくない。
また、近年は各種形式のライドシェアや、AIオンデマンド交通など、市町村が地域交通を見直す際の選択肢が増えていることも影響している。
大きなコストと、もしもの場合のリスクを考えて、レベル4自動運転に本気で取り組むケースが減っている印象がある。