リーマンショック以降の歪み、一気に調整へ
リーマンショック以降、長らく続いた低金利の環境が金融機関に過度のリスクテイクを生じさせたとの指摘がある。その間、米国経済は総じて好調であったことから問題が生じなかったが、米国経済がリーマンショック以来の不況に陥れば、蓄積されてきた金融市場の歪みの調整が起きる可能性は十分にある。
米国では商業用不動産向け融資の焦げ付きが問題視されている。今年末までに期限を迎える融資総額は1兆ドル(約143兆円)に上り、融資に熱心だった中堅銀行の財務の悪化が予想されている。
それ以上に心配なのが中小企業向けのエクスポージャー(融資や投資)だ。
高リターンを期待する投資家が、中小企業が発行するジャンク債やレベレッジドローン(信用力の低い企業向け融資)を証券化した金融商品(CLO)に積極的に投資してきたからだ。ヘッジファンドも中小企業向け融資を行っていた(プライベート・クレジット)。
3兆ドル(約430兆円)に上る市場の帰趨は中小企業次第だが、その雲行きが怪しくなっている。全米自営業者連盟が8日に発表した3月の中小企業楽観度指数は前月比3.3ポイント低下し、97.4となった。2022年6月以来の大幅低下だ。
米国破産協会によれば、3月の倒産件数は前年比約20%増の733件だった。