ウズベキスタンの人口は3565万人(2023年世界銀行調べ)。低賃金の魅力で製造業を誘致して大量生産・・・というには中国などに比べやや物足りない気がする。また、隣国カザフスタンのように石油や天然ガスなどの地下資源に恵まれているわけでもない。

 しかし、「歴史」という資産では、いまや唯我独尊状態ともいえる建国250年ほどの超大国も、その足元にも及ばない。ウズベキスタンの取り組みには期待したいものだ。

使われなくなったイスラム教の修道院をリノベーションして、国内あるいは海外から来たアーティストの住居(2階)と書斎(1階)にしている。右に見える壁はかつて城壁に使われていたのと同じ素材で作られている。この壁の裏側にアーティストたちが作業できるアトリエがある。中央の中庭に植わっているのは杏の木
上の写真で右の壁の反対側に造られた2階建てアトリエの一部
1980年に建設されたチョルスーバザールもタシケントを代表するモダニズム建築の一つ。青い屋根のドーム型をしており、頂上部分には換気用の窓が開けられ高温になる夏でも中は涼しい風が通るように設計されている

(ヒバ・ブハラの古都編につづく)

 なお、ウズベキスタンは4月13日から始まる2025年日本国際博覧会(大阪万博)でパビリオンを設けている。

 古都ヒバにある有名なジュマモスク(金曜モスク)の構造を彷彿させる、丸太を組み合わせて作られたパビリオンで、サマルカンドを象徴する青いタイルもふんだんに使われている。

 パビリオンの設計を担当したドイツのデザイン会社、アトリエ・ブルックナー社のバーギット・マイヤー取締役は「木彫りや寺院建築の職人技など、日本との共通点も見出しながら、芸術と建築の歴史をぜひ探訪してほしい」と語る。