欧米に追いつけ追い越せはもう古い、芸術と文化・歴史で国をつくるウズベキスタンの挑戦
タシケント編:第2次大戦中に造られた現役の光学装置とモダニズム建築
2025.4.2(水)
川嶋 諭
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ウズベキスタンの人口は3565万人(2023年世界銀行調べ)。低賃金の魅力で製造業を誘致して大量生産・・・というには中国などに比べやや物足りない気がする。また、隣国カザフスタンのように石油や天然ガスなどの地下資源に恵まれているわけでもない。
しかし、「歴史」という資産では、いまや唯我独尊状態ともいえる建国250年ほどの超大国も、その足元にも及ばない。ウズベキスタンの取り組みには期待したいものだ。
(ヒバ・ブハラの古都編につづく)
なお、ウズベキスタンは4月13日から始まる2025年日本国際博覧会(大阪万博)でパビリオンを設けている。
古都ヒバにある有名なジュマモスク(金曜モスク)の構造を彷彿させる、丸太を組み合わせて作られたパビリオンで、サマルカンドを象徴する青いタイルもふんだんに使われている。
パビリオンの設計を担当したドイツのデザイン会社、アトリエ・ブルックナー社のバーギット・マイヤー取締役は「木彫りや寺院建築の職人技など、日本との共通点も見出しながら、芸術と建築の歴史をぜひ探訪してほしい」と語る。
旅のプチ情報
ウズベキスタンへは成田と関空から週に2便ウズベキスタン航空の直行便が出ている。それ以外には、韓国の仁川経由でウズベキスタン航空か大韓航空、アシアナ航空を使うのが便利なようだ。
仁川は成田とタシケントのほぼ航路上にあるので、距離的にはほとんど遠回りにはならない。約9時間続けて飛ぶか、7時間と2時間に分けて飛びトランジットでいったん休憩するかの選択肢となる。
また、タシケントへの航路上には北京や敦煌、ウルムチなどの都市があり、飛行機に乗りながらシルクロードを旅している気にさせてくれる。
帰りの便ではモスクワ出張の帰りという韓国人ビジネスパーソン(海運会社勤務)と隣り合わせになった。韓国からモスクワへの直行便が使えなくなり、タシケントでトランジットしているのだという。
そのせいなのだろうか、仁川~タシケント便は往復とも満席に近かった。
ウズベキスタン航空の機材はボーイング「787」だった。日系の航空会社でも米国西海岸やロンドン、デリー線などによく使われる人気機材で筆者も何度も乗った経験があり、エコノミー席の真ん中でもそれほど辛くはないだろうと思っていた。
しかし、実際に乗ってみると大人の男3人が横に並ぶとなかなかしんどい。深夜便ではほとんど睡眠がとれなかった。
後で調べてみたら、日系の航空会社は長距離の国際線ではシート配列が横に、2、4、2の8席になっている場合が多いのに対し、ウズベキスタン航空の場合は3、3、3の9席と1人分多くなっていた。
搭乗の際に荷物の重量オーバーを指摘されている人を何人も見たが、なるほどそういう理由だったのかと合点がいった。