「資産1億円」を目標にしてはまる「罠」とは

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 あなたは投資で目標とする金額に達したら、それで満足するタイプでしょうか。それとも「さらに増やそう」と考えるタイプでしょうか。

 後者のほうが向上心は高く、幸せを追求しているようにみえますが、もしかしたら幸福度が上がりにくいかもしれません。

 お金が1000万円貯まったら次の目標は2000万円、2000万円貯まったら次は3000万円、ゆくゆくは1億円と、ゴールを動かすことを続けると、いくらお金が貯められても幸福度は増えていかないでしょう。

 それどころか、お金を貯めること、増やすこと自体が目的だったり、賞賛されることが目的になったりと、肝心の夢や目標の達成にお金を使えなくなります。投資系・お金系インフルエンサーの多くもこういうお金の罠に陥っている印象を受けます。

 グラスに半分ほど入っているワインを見て、「まだ半分ある」と思う人は楽観的、「もう半分しかない」と思う人は悲観的という話は有名です。

 幸福度は、物事の捉え方の違いによっても変わります。お金に限った話ではありませんが、物事を悲観的に捉える人よりも、楽観的に捉える人のほうが幸福度も高くなります。

 チェーン店の牛丼を「もっと高いものがよかった」と思って食べても幸せではないはず。「おいしい」と満足して食べる人が幸せです。

 他人と比較せず「足るを知る」こと、お金と時間を「長続きする幸せ」に使うことが、幸福度アップにつながります。

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50代から考える お金の減らし方』(頼藤太希/高山一恵、成美堂出版)。幸福の最大化を目指すお金の減らし方を、オールカラー・マンガと図解でわかりやすく学べる1冊。どういったお金の使い方が人を幸せにするのか、幸せとお金の関係、長続きする幸せとしない幸せ、幸福度を上げるポイントなども解説
頼藤 太希(よりふじ・たいき) (株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント
中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し、現職へ。女性向けWebメディア『Mocha(モカ)』やYouTubeチャンネル『Money&YouTV』を運営すると同時に、資産運用・年金・税金・家計管理などに関する書籍の執筆・監修、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。最近の著作に『マンガと図解 はじめての資産運用 新NISA対応改訂版』『はじめての新NISA&iDeCo』『定年後ずっと困らないお金の話』など。著書累計170万部超。