4.日本の安定の土台はモラルの共有

 現在の主要国のリーダーに共通する課題はモラルの欠如であると指摘されている。

 民主主義にせよ専制主義にせよ、国家リーダーにはモラルが必要である。

 現在の主要国のリーダーは、自らの政治基盤確保のため、選挙民向けの人気取り優先の政策運営に傾きがちである。

 あるいは、民主主義を破壊し、国民を弾圧し、他国の一般市民の命を奪っている。その中に高いモラルを示すリーダーは見当たらない。

 幸い日本のリーダーは民主主義の破壊、極右勢力の台頭等を許さず、他国への侵略戦争にも反対してきている。

 石破政権もいくつかの批判を受けてはいるが、欧米、東アジア諸国等のリーダーに比べると国民の要望に対して誠実に向き合い、政策運営を行っている。

 欧米、東アジア諸国等の国内情勢の厳しい状況を現地で実感することなく、日本国内の状況しか見ていないと、主要国との対比で日本の政権運営の特徴を認識することは難しいかもしれない。

 しかし、米国、欧州、東アジア主要国の現地に定期的に足を運び、有識者と意見交換を重ね、各国の国民が置かれている状況と日本の現状を比べると、日本国民は相対的に恵まれた環境にあると感じる。

 その根本的な原因は政治経済のリーダーのモラルが比較的維持されていることにあると筆者は考える。

 それを支えているのは全国民レベルのモラルの共有である。

 しかし、2月の寄稿「授業料無償化では不十分、人格形成教育向上のために公的な教育補助の拡大を」でも伝えたように、日本においてモラルをもつリーダーを育てる人格形成教育が劣化しているのも事実である。

 現在の世界の主要国と日本を客観的に見比べ、日本の長所を伸ばそうとすれば、モラル教育、すなわち人格形成教育の拡充に注力することを目指すべきである。

 他国の轍を踏まないよう、一日も早く日本のモラル教育の立て直しに着手すべきである。

 そのための第一歩は教育予算を大幅に拡充し、小中学校の教員数を倍増させることである。

 充実した指導体制の下で、子供たち一人ひとりの豊かな天性天分を見出し、それを個々人の学習進度に合わせてのびのびと伸ばしてあげられる柔軟な教育環境を整備することが必要である。

 そこで育った子供たちは10年後には社会で大きな貢献を果たし始める。

 モラル教育が社会経済に好影響を与え始めるまでの時間は意外に短いのである。