②プラスアルファの発想
既存の製品やサービスを補完あるいは代替するだけでは、本家の「劣化版」としかみてもらえない。そうではなく、技術を活用して新しいコンセプトをもつ製品を開発するというようなスタンスで臨む企業もあった。機能を拡張し、本家を超えるプラスアルファの価値を生み出す発想が、業界に変革をもたらすのだろう。
コネクテッドロボティクス株式会社が開発した食産業向けロボットを導入する飲食店や食品工場では、過酷な労働を機械が代替することから、従業員の働きやすさの向上につながっている。加えて、集客効果もある。
同社は、人の目に触れる場所に設置する飲食店向けのロボットを開発する際は、来店客が見て楽しめるようなエンターテインメント性を盛り込むよう意識している。ソフトクリームロボットなら動物などのデザインを施し、顧客に手渡す際にはコミカルな声を出す機能を加えた。こうした工夫が、導入先の業績向上に貢献している。

③適材適所の発想
技術を用いるうえで重要なのは、自社の強みを生かすことである。ただし、経営資源に限りがある中小企業においては、自社だけでは解決に導くことが難しいこともある。その場合は、他社を巻き込み、外部と連携して足りない要素を補うことが有効である。
バリュードライバーズ株式会社は、規格外やつくりすぎといった訳あり食品を流通させるプラットフォーム「tabeloop」(たべるーぷ)を運営している。
取り扱う食品のなかには、生鮮品など消費期限が短いものがある。そこで同社は、漁師など1次産業者が手軽に生鮮品の加工ビジネスに参入できるシステム「たべるーぷファクトリー」を考案した。
産地の近くの食品加工工場と1次産業者をつなぎ、廃棄していた魚などを加工できるようにする仕組みだ。三重県や新潟県などで連携事例がある。
このほか、生産者と消費者をつなぐ取り組みとして、農協や大手不動産会社と連携して産地から直接マンションに配送し、共用部分で販売する「たべるーぷマルシェ」というイベントも開催している。
