NPBでも「ルール5ドラフト」に類似した制度が小規模ながら実施されたことがある。1970年には「トレード会議」という制度が導入され、支配下選手の20%を対象にリストアップされ、各球団が指名したが長続きせず、72年限りで終了。
1990年には「セレクション会議」が行われ、「1軍要員の33人」とプロ入り3年未満の選手がプロテクトされ、残った選手の中から、移籍を希望する選手を各球団がリストアップ。小規模ながら移籍が成立したが、これも1年で終わった。
2018年頃から、NPB支配下選手の権利を擁護する日本プロ野球選手会が、「選手移籍の活性化」について提案を始めた。その結果、2020年3月5日のプロ野球実行委員会でこの年からの「現役ドラフト」導入が決まった。しかし新型コロナ禍で延期となり、2022年から「現役ドラフト」が始まった。
現役ドラフト1年目で指名された12人のうち7人はすでに戦力外
「現役ドラフト」は、外国人選手や複数年契約を結んでいる選手、高額契約の選手を除外した選手の中から、各球団が2名以上をリストアップ、この中から各球団が獲得を希望する選手を指名する制度だ。
【2022年の現役ドラフト選手と移籍→前後の通算成績】●は戦力外 △は育成契約
・渡邉大樹(外)ヤクルト→オリックス●2023年 戦力外
12安1本 率.169→0安0本 率.000
・古川侑利(投)日本ハム→ソフトバンク●2024年 戦力外
6勝15敗0S3H 率4.99→0勝0敗0S0H 率4.50
・陽川尚将(内)阪神→西武●2024年 戦力外
157安23本 率.227→4安1本 率.167
・正隨優弥(外)広島→楽天●2023年 戦力外
4安2本 率.121→0安0本 率.000
・大下誠一郎(内)オリックス→ロッテ
23安3本 率.204→8安1本 率.190
・松岡洸希(投)西武→日本ハム△2023年 育成契約
0勝0敗0S0H 率12.00→一軍出場なし
・成田翔(投)ロッテ→ヤクルト●2023年 戦力外
0勝2敗0S1H 率5.64→0勝0敗0S0H 率5.40
・笠原祥太郎(投)中日→DeNA●2023年 戦力外
11勝13敗0S0H 率4.41→0勝2敗0S0H 率4.50
・大竹耕太郎(投)ソフトバンク→阪神
10勝9敗0S1H 率4.07→23勝9敗0S0H 率2.54
・オコエ瑠偉(外)楽天→巨人
129安9本 率.219→64安5本 率.249
・戸根千明(投)巨人→広島●2024年 戦力外
5勝2敗3S18H 率3.96→1勝0敗0S5H 率4.64
・細川成也(外)DeNA→中日
41安6本 率.201→187安47本 率.278
1年目は1巡目指名までだった。この年指名された12人のうち7人がすでに戦力外となっている(中日からDeNAに移籍した笠原はCPBL=台湾プロ野球の台鋼を経て今季からファームリーグのくふうハヤテに移籍)。
しかしソフトバンクから阪神に移籍した大竹が先発ローテの柱となり23年の優勝に貢献。DeNAから中日に移籍した細川も不動の中軸打者に成長。楽天から巨人に移籍したオコエも成績を伸ばすなど、一定の成果があったと言えよう。