「Z世代の英語力」が落ちている
酒井:デジタルデバイスのみで「学習」することは、書字から読解まで基本的な言語機能に直接的な影響を及ぼす可能性があります。言語能力が落ちれば理科や算数などの理系科目を含め、全科目に波及します。「言葉」なしで教える教科など存在しないからです。英語はなおさら顕著でしょう。
日本で先に普及した英語のデジタル教科書による弊害が確認され始めています。学校教育法が改正され、デジタル教科書が使われるようになったのは2019年4月からです。それ以降に中学生だった世代(現在の18〜20歳)の「英語力」は、伸びるどころか逆に落ちているのです。
世界最大の英語能力指数である「EF EPI」によると「18〜20歳」が他の世代と比べても急激に英語力が落ちていることが確認できます。また、21〜25歳の下落率も年代が上の世代に比べて高いことも気がかりです。
タブレットなどの電子機器を導入することにより、英語の音声が聞けるようになったり、キーボードで一語一句書き取るようなトレーニングがやりやすくなったりしたはずなのですが、極端に英語力が落ちているのが現実です。英語学習においても先ほどお話しした「構造化」が肝心であることに変わりはないのですが、「新たな学習方法」が強調される一方で、見えない脳の力には目が向けられていないようです。教育の地盤沈下が心配です。
>>(前編から読む)デジタル教科書で日本人はバカになる?脳科学が証明、タブレット&キーボードで「分かった気になる」子どもが増える