青山通り側から見た、ホンダ青山本社ビル(写真:筆者撮影)

(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)

 2月5日午後、東京都港区のホンダ青山本社ビル16階の応接室で、手元のスマートフォンに『速報』が流れた。

 ホンダと日産の経営統合協議が白紙になる、との報道だ。

 あくまでも報道ベースであり、それも日産自動車の取締役会での議論の内容が一部メディアに漏れただけ。この時点でホンダ側では詳細をつかんでいなかった。日産の内田誠社長が事情説明のためこのホンダ青山本社ビルを訪れるのは、この翌日だ。 

 そうした中、ホンダの新たなる門出に向けて、この地でホンダの歩みを体感しているとの巡り合わせを、不思議に感じた。

 1985年にオープンしたホンダ青山本社ビルが、2025年のゴールデンウィーク前にその使命を終える。ここで就業しているホンダ社員は、業務内容に応じて港区虎ノ門の一般商業ビルと、埼玉県和光市のホンダ関連施設に移る。なお、1階のウエルカムプラザは3月末でクローズする。

『小判型の柱』。ビルの完成直前、現場を訪れた本田宗一郎氏がエントランスの2本の円柱を見て「権威の象徴」に見えると激怒したことで、急遽、角張らせた小判型に変更した(写真:筆者撮影)

 これに先立ち、メディア向けに『ホンダ青山本社ビルクロージングイベント・建築ツアー』が実施され、筆者も参加した。同ツアーは一般向けにも2月23日(日曜日)に実施される。ホンダのホームページなどを通じて参加者を募集したところ、抽選75人の枠を大きく上回る応募があった。

 ツアーでは、ホンダを含めて企業関連の建物の歴史に詳しい、大阪公立大学教授の倉方俊輔氏が案内役を務める。

 では、貴重なツアーをご一緒に巡ってみよう。

 だたし、ここでひとこと申し上げておきたい。

 一般向けツアーに応募した方は、これから先は『ネタバレ』になることをご承知頂いた上で、読み進めて頂きたい。