
2024年末に報じられた本田技研工業(以下、ホンダ)と日産自動車(日産)との「経営統合に向けた検討に関する基本合意書」の締結。本当に、ホンダ、日産の経営統合が実現した場合のシナリオと想定される課題とは? 世界初の量産型電気自動車「i-MiEV」(アイ・ミーブ)の開発責任者・和田憲一郎氏が解説する。
本当に世界第3位のグループが誕生するのか?
2024年12月23日、ホンダと日産は「経営統合に向けた検討に関する基本合意書を締結した」と発表した。「両社の経営統合が実現すれば、お互いが有する知見や人材、技術などの経営資源を融合し、より深いレベルでのシナジーを創出できる」と述べている。しかし、筆者としては今一つピンとこない。では、この経営統合によって何を目指すのだろうか。三菱自動車は1月末に参画を決断としているが、今回は3社が経営統合した場合を想定し、少し違う視点から筆者の考えを述べてみたい。

今回の経営統合は、現在というより、将来のEV時代に向けての経営統合であろう。シナジー効果の説明でも、将来のプラットホームの共通化、SDV(Software-Defined Vehicle)プラットホームの領域における共同研究、バッテリーやe-AxleなどEVコンポーネント仕様共通化や共有を掲げている。
経営統合により、世界販売台数(2023年ベース)は、ホンダと日産合計で735万台、三菱自動車も含めると813万台となり、世界第3位に浮上すると言われている。ではEVシフトに関する現在地はどうなのであろうか。
世界におけるEV販売台数を考察すると、異なる景色が見えてくる。