
(井元 康一郎:自動車ジャーナリスト)
ホンダの海外開発拠点強化色が色濃く出たモデル
2024年3月にホンダが輸入販売を開始したインド生産車「WR-V」。日本で人気のハイブリッドパワートレインを持たず、AWD(4輪駆動)も用意されないというシンプルな構成のクロスオーバーSUVモデルだが、価格が比較的リーズナブルということもあり、月販平均3000台超と好調だ。
そのWR-Vを700km弱ロードテストする機会を得たので、レビューと考察をお届けしたい。
先にWR-Vの成り立ちについて簡単に触れておこう。日本デビュー前年の2023年9月にインドで「エレベート」名で発表されたクロスオーバーSUV。開発はタイで行われ、チーフデザイナーもタイ人のチャチャワル・プラパイ氏が務めるなど、ホンダの海外開発拠点強化色が色濃く出たモデルである。
ボディサイズは全長4325mm×全幅1790mm×全高1650mm。プラットフォームを共有する日本開発モデル「ヴェゼル」に似たディメンションだが、ホイールベースは2650mmとヴェゼルより40mm長い。

パワートレインは1.5リットル自然吸気の「L15D」+CVT(無段変速機)の1種類のみ。最高出力87kW(118馬力)/6600rpm、最大トルク142Nm(14.5kgm)/4300rpmのスペックはヴェゼルの純ガソリン車「L15Z」とまったく同一だ。異なるのはミラーサイクル運転はせず、アイドリングストップも装備されないことで、シンプルかつ低コスト狙いであることがうかがえる。
消費税込みの価格レンジは209万8800円~248万9300円。今回のロードテスト車は売れ筋となっている2番目の「Z」グレード(234万9600円)。オプションとしてディスプレイオーディオが装備されていた。試乗ルートは関東平野一円の周遊。ではインプレッションに入っていこう。