(井元 康一郎:自動車ジャーナリスト)
欧州で義務化されるEVのカーボンフットプリント明示
近年、環境政策に関する用語の中でクローズアップされているものに「カーボンフットプリント(CFP=Carbon Footprint of Product)」がある。
英名には「製品」という言葉が含まれているが、国、企業、組織または個人の活動などあらゆる局面で排出される温室効果ガスを計算し、それをCO2換算値として示すという手法である。
森羅万象の世界において何がどのくらい温室効果ガスの排出に関与しているかを計算するのが難しいのは言うまでもないが、例えば製品単位での排出量の捕捉についてはすでに制度設計が始まっている。
クルマの世界では2025年に欧州でBEV(バッテリー式電気自動車)のバッテリーパックについてCFPの明示が義務化される見通しで、2025年はいわば“CFP元年”に位置づけられることになるだろう。
だが、BEVはバッテリーだけで出来ているわけではないし、BEVに限らず全てのクルマは製造・使用・廃棄の各ステージで温室効果ガスを排出する。それら全てを計算し、その値をベースにCO2換算値で排出量規制をかけるとするならば、世界の自動車産業や法制度はありようをガラリと変えなければならないくらいの影響を被るだろう。
まずはクルマの製造がどのくらいの温室効果ガスを排出するか、以前当サイトで紹介したボルボのコンパクトクラス電動クロスオーバー「C40」の値をいま一度みてみよう。