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ホンダは1月28日、二輪(バイク)事業説明会を開いた。2024年度のグローバル販売実績は2020万台の見通しで、これは市場規模全体の4割に及ぶ。今後は、インド、南西アジア、インドネシア、フィリピン、ブラジルなどで需要拡大が見込まれ、2030年には全体需要は6000万台と予想。ホンダとしてはシェア5割を目指すとした。半面、「クルマからモビリティへの転換」を目指す四輪事業はユーザーのニーズを見失っていないだろうか。
(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)
今回の会見は、電動化戦略を含めて、実に『ホンダらしい』攻めの姿勢を感じさせるものだった。同時に、四輪(自動車)事業が直面している将来に向けた様々な課題も浮き彫りになった。
まずは、二輪車事業と四輪事業の実績を大まかに比較してみる。
直近の通期決算である2024年3月期決算によると、売上収益は20兆4288億円。このうち7割弱が四輪事業で、二輪車事業は2割に満たない。台数で見ると、四輪事業が410万9000台に対して、二輪事業は1881万9000台と4倍以上の開きがある。
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他方、営業利益率では四輪事業が4.1%にとどまる一方で、二輪事業は17.3%と高い。営業利益額では5600億円ほどでほぼ拮抗している。
そのため、ホンダ関係者が「ウチは二輪で(経営が)もっている」と表現することが少なくない。
ホンダにとって二輪は、ものづくり、そして事業の原点だ。
1949年に『ドリームD型』を生産開始し、その後はシティコミューター(街乗り)の『スーパーカブ』や、趣味性の高いファンモデルと呼ばれる『CB』シリーズなど人気バイクを生み出してきた。
生産体制については「需要があるところで生産する」との理念のもと、1963年のベルギー工場の稼働を皮切りに、現在は23カ国で37の生産拠点を持つ。販売店数は3万を超える。
ホンダは世界トップのバイクメーカーであり、さらに二輪事業は高い収益性を背景に『次の一手』もグローバルに大胆かつ積極的だ。
今後は、世界最大のバイク市場であるインドを筆頭に、インドネシア、フィリピン、バングラデシュ、ブラジルや中南米各国など、いわゆるグローバルサウスでの需要拡大を想定している。これらの地域を中心に5年間で1000万台近い増加を予測している。